新年を迎えたということもあって、年始に一年の目標を立てた人も多いことでしょう。そのなかでフェイスブックやブログ上で、あるいは周囲の人々に目標を公言した人もいれば、自分の胸の中にひそかにしまっていたり、なんとなくぼんやりとしか思い浮かべていないという人もいるでしょう。
新年の決意を公言した場合とそうでない場合、その後の成功率に違いはでるのでしょうか?
臨床心理学誌(Journal of Clinical Psychology, 2002)に掲載されたスクラントン大学のジョン・ノアクロス教授らの研究によると、電話調査に回答した434名のうち178名(41%)が新年の決意を行い、256名(59%)が行っていませんでした。決意の主な内容は「体重を減らす」(31%)、「運動をする」(15%)、「禁煙」(12%)でした。
新年の決意を行い公言した人のグループと比較するため、新年の決意を行っていない人に「もし自分の行動を一つ変えたいという新年の決意をするなら、それは何か?」という質問をすることで、何か行動を変えたいと心の中では考えている人たちのグループを抽出。2つのグループをフォローアップ調査することで、体重の変化や禁煙の成否などの結果の違いを比較しました。
決意を公言した人のグループで継続的に成功していた人の割合は、1〜2週間後で71%、3〜4週間後で64%、3ヵ月後で50%、6ヵ月後で46%でした。一方、変えたいという気持ちはあっても決意を公言していなかった人のグループでは、1〜2週間後で51%、3〜4週間後で17%、3ヵ月後で16%、6ヵ月後で4%でした。6ヵ月後にも継続的に成功しているかどうかは、決意を公言したグループと公言しなかったグループで、なんと11倍以上の差(46%と4%)が開いたことになります。
もちろん、より長期の調査を行った場合、決意を公言したグループの継続的成功率がより下がる可能性は想定されます。また、「体重を減らす」や「運動をする」などの単純な決意ではなく、よりハードルの高い目標だと結果が変わってくるかもしれません。いずれせよ、やりたいと思っていることをぼんやりと胸に秘めておくよりも、決意や目標を周囲に公言した方が成功率が高まる傾向にあることを示唆する研究の一例だと言えるでしょう。
私自身は、以前、ハーバード大学院を目指し、一度不合格の挫折を味わったことがあります。そのときは周囲にはあまり伝えずに、ひっそりと入学願書を提出しました。その後、自らの敗因と合格への道筋を徹底分析して、再度挑戦することに決めました。そして、その目標をブログで公言することで、より広く、多くの人に公言することにしました。目標を公言することで、背水の陣をしき、自らを奮い立たせたのです。結果的に、プレッシャーとともに適度な緊張感が、英語学習やエッセイ・推薦状の準備を続ける高いモチベーションの維持につながりました。また、目標を公言したことで周囲のサポートが得られ、効果的な推薦状をもらうことができ、最終的にハーバードに合格できました。一流のスポーツ選手も同様に、目標をはっきりと公言する人が多いですね。
目標は公言することで、そこに自分と周囲を巻き込む流れが出来上がるのだと思います。自分だけの力ではなく、周囲の力にも後押しされることで継続する力が得られる。これまで自らの胸にだけひそかに抱いていた夢を、明確な目標として周囲に宣言してみてはどうでしょう。そこから強い決意と大きな変化が生まれてくるかもしれません。
この記事は、『一生伸び続ける人の学び方』から一部抜粋して編集しました。
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