まなブロ by 本山勝寛

「学びのエバンジェリスト」本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

都立日比谷高の復活と格差是正に必要な公立高校改革  

公立を選択するか、私立を選択するかによって、かかる授業料や教育費に大きな差が生じることを先日のブログ記事で紹介した。教育とお金の問題を考えるとき、単に奨学金の問題だけでなく、安い授業料でも通うことのできる公立校で質の高い教育を受けられるように、教育改革を進める必要がある。

 

そういった観点から、都立日比谷高校の近年の復活は注目に値する。1965年に東大合格者数が181人だったのが、学校群制度やその後の後継制度などの影響もあり、1998年には2人まで減少していた。しかし、2000年代に入って大幅に回復し、東大合格者数でいえば、2007年には28人、2016年には53人と増加している。(2017年は45人だが現役合格者は2016年よりも多い、)

 

その復活劇の現場で日比谷高校が何を行ってきたのか、校長武内彰氏の著書『学ぶ心に火をともす8つの教え』に詳しく記されていて興味深い。 

学ぶ心に火をともす8つの教え 東大合格者数公立No.1!! 日比谷高校メソッド

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その間、何があったかというと、石原新太郎都知事のもと2001年から行われた都立高校改革だ。その肝になるのが、進学指導重点校制度の導入だ。教員公募制による意欲と指導力のある教員の配置、自校作成の入試問題の導入、補修や夏期講習の拡充などが特徴だ。

 

2001年に日比谷高校、戸山高校、西高校、八王子高校が進学指導重点校に指定され、2003年には青山高校、国立高校、立川高校が追加指定された。また、2003年に都立高校の学区制度も廃止され、学区外からどの高校でも受験できるようになった。

 

2012年から日比谷高校で校長を務める武内彰氏によると、同校では模擬試験などの試験結果をもとに生徒一人ひとりのデータベースを作成し、データを活用した対策を行ったという。そのうえで中下位層の学力を向上させるため、宿題を常に課すこと、午前7時半からの補習授業、教師と生徒との年4回の面談を実践した。また、武内校長が各教師の授業を年2回は見て回り、教師との対話によって授業改善の指導に力を入れた。生徒による授業評価も実施し、「授業内容がいい」と回答した全校生徒の割合は、60%から5年間で76%に改善したという。(日経スタイル2016年9月17日記事より)

 

週刊東洋経済10月15日号によると、難関国立大学10大学(東大、京大、北大、東北大、名大、阪大、九大、一橋大、東工大、神戸大)合格者数の2006年から2016年の期間の推移をみると、公立高校の躍進が目立つ。最も増加数が多かったのは私立教育学園幕張(千葉)の78人だが、続いて公立の西京高校(京都)76人、刈谷高校(愛知)72人、日比谷高校(東京)69人と続く。ほかにも、神奈川の横浜翠嵐高校59人、湘南高校53人、大阪の天王寺高校53人、北野高校46人、兵庫の西宮高校53人、神戸高校42人、京都では西京高校以外にも嵯峨野高校48人、堀川高校も41人増加している。

 

ゆとり教育が見直され始めたここ10年では、公立高校が再び力をつけ始めていることが分かる。こういった公立高校の改革が進めば進むほど、高い授業料を払って私立中高一貫校に通わなくても、質の高い教育を受ける選択肢が広がる。

 

私自身は、大分県内の県立大分上野丘高校に通ったが、県内では随一の進学校であったため、大学受験のために勉強するという環境は比較的整っていた。教師陣も熱心で、学習用プリントなどを用意してくれ、質問に行けば答えてくれた。経済的に塾や予備校に通うことはできなかったが、公立高校での勉強と、自分自身が大学受験の情報と対策を研究して確立した独学術でほとんどお金をかけずに東大に合格することができた。その独学術の詳細は近著『最強の独学術』でまとめた通りだ。

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

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東大には、私と同じように地方公立高校出身者で塾にも通わなかったという友人が何人もいた。公立高校の教育力を高めることは、教育格差の是正につながる。日比谷高校のような事例が、各県の公立高校からもっとたくさん出てきてほしいところだ。そのために文科省都道府県教育委員会、そして現場校長・教師たちは全力を尽くしていただきたい。