本のタイトルってどう決まるのでしょう?
多くの人は、著者が決めると考えているかもしれませんが、実はそうではありません。
私は、もうすぐ発売の『最強の独学術』を含めて、これまで11冊の本を出してきました。その経験を踏まえて解説したいと思います。
結論から言うと、ほとんどの書籍、特に小説などフィクション作品以外のノンフィクション本の大半は、タイトルを決めるのは出版社です。出版社のなかでも、著者と直接やり取りする編集者だけでなく、営業部の意見が尊重されることが多いです。
というのも、本はタイトルと表紙で売れ方が大きく左右されると言われています。中身が重要であることも確かですが、書店で手に取って開いてもらうためには、表紙とタイトルで人をひきつけなければならないからです。どんなに中身の「いい本」を書いても、手に取ってもらえなければ読まれない、売れないわけです。
そのため、「売れる本」を仕上げるために、最終的には本という商品に出資している出版社が、タイトルの決定権を持つということです。
タイトルの工夫で売れた本といえば、『さおだけ屋はなぜつぶれないのか』や『スタバではグランデを買え!』などがよい例でしょう。これが「会計学入門」や「経済学入門」といったタイトルではそれほど売れなかったでしょう。
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)
- 作者: 山田真哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2005/02/16
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拙著『最強の独学術』は、企画段階のタイトル案は「独学の極意」でした。「独学」をテーマにした本ということは決まっていましたが、タイトルは最後の最後まで検討されました。途中で、私もいくつかアイディアを出しました。たとえば、以下です。
「独学宣言!」
「独学3.0」
「独学の極意」
著者本人としては、「独学宣言!」が、アメリカの独立宣言と語呂が近く、見た目にも響きにもインパクトがある点、読者が自分の「独学宣言」をSNS上でしやすいので拡散の仕掛けができること、「ドクセン」という略ができることなどの理由で一押しでした。
しかし、結果的には著者の希望は通らず、『最強の独学術』がタイトルとして出版社によって決められました。「最強」は売れている本のキーワードでもあり、多くの人にとって分かりやすいタイトルが優先されたということだと思います。イラストを使った表紙へのはまりも考慮されました。
とはいえ、本が売れるかどうかは出してみないと誰も分からない。何が正解だったのかは分かりません。いずれにせよ、まずは手に取って読んでみてもらいたい、というのが著者の共通の願いです。