残業100時間を3分の1に減らす方法
電通に勤務していた東大卒の女性社員が自殺し、過労死の労災認定されたという悲しい事件が大きな波紋を呼んでいる。電通や広告代理店の特殊性に注目が行きやすいが、今回の事件は多くの日本企業にとって他人事ではなく、政財界をあげて働き方を真剣に再考する機会とすべきだ。
私自身は、入社一年から二年の間は残業や長期海外出張が重なり、残業時間が月100時間を超える月も多くあった。そんななか転機となったのが第一子の出産だ。入社から一年と半年が経ったときに第一子が生まれ、妻の壮絶な出産に立ち会い、父親としての自覚を実感したときに、「家族との時間を最優先にすること」と、そのために「残業は基本的にはしない」という目標を立て、自身の働き方を改めた。
具体的には、18時を自分がその日にやらなければならない仕事の締め切り時刻と設定し、締め切りに合わせて、タイムマネジメントをするようにした。
それまでの経験から、「締め切り」が人間のパフォーマンスを引き出すのに有効であり、締め切り時刻直前こそが集中力を最も発揮する時間であることは理解していたので、その特徴を有効に活用した。
残業をしてしまうと、終業時刻が定められていないので、あと1時間、2時間とずるずると延長させてしまい、結果的に頭が働かないままズルズルと終電時間まで残るといったように、仕事のパフォーマンスが落ちる働き方をしてしまう。そうではなく、原則毎日18時を締め切りとし、もしできなかったとしても、次は18:30を締め切りといった具合に、時間を自分で設定して残業することにしている。
また、それまでは大量の仕事を何もかも自分で抱え込んでいたものを、可能な限りシステム化し、必要なものは外部にアウトソーシングすることで、本当に自分がやらなければならない業務のみに集中するようにした。
さらに、当時流行語になっていた「イクメン」を目指していることを社内外に表明することで、「あいつはイクメンだから早く帰宅してもしょうがない」といった雰囲気をつくるように自ら仕向けた。
結果的に、それまで月80〜100時間残業していたのだが、月20〜30時間と三分の一程度に減らせるようになった。また、その後も第二子、第三子、第四子の出産時には、男として初めての育休を1〜2ヶ月取得して、育児に専念した。かといって仕事の成果が落ちたことはなく、今でも毎月一つは新規事業を立ち上げるペースで働いている。
日本社会の残業が多すぎる労働文化は、うつや過労死の原因になってしまうだけでなく、出産育児を妨げ、家族の絆を弱め、少子化の一つの要因にもなっている。今こそ日本社会全体が働き方を抜本的に改めるべきだ。
関連記事
・三回目の育休を振り返る
・労働生産性と創造性を高める鍵はイクメンにあり
※入社2年時に働き方を変えたときに書いた仕事術の本
「東大」「ハーバード」流・16倍速仕事術 「掛け算」で成果を伸ばす (Kobunsha Business)
- 作者: 本山勝寛
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 36回
- この商品を含むブログ (4件) を見る