まなブロ by 本山勝寛 教育イノベーター・日本財団子どもの貧困対策チームリーダー

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

高校生給付奨学金が拡充か

政府が8月28日、子どもの貧困対策閣僚会議を首相官邸で開いたと時事通信が報じた。記事の一部を抜粋すると以下の通り。

「貧困の連鎖」を防ぐため、2019年度までに一人親家庭の子ども50万人に学習支援や食事の提供を行うことなどを柱とする支援強化の方針を決めた。年末をめどに、財源確保策も含め具体的な政策集をまとめる。(中略)学習支援では、高校を中退した一人親家庭の子どもに対して、高卒程度認定試験の受験費の助成を16年度から開始。奨学金も拡充し、文部科学省は16年度予算概算要求に、高校生向けの給付型奨学金189億円(前年度比110億円増)、大学生向けの無利子奨学金1006億円(同258億円増)を計上した。 

まだ予算概算要求の段階ではあるが、政府が子どもの貧困対策や奨学金の拡充に力を入れる方向であることは評価できる。日本では、子どもの貧困率(等価可処分所得の中央値の50%以下の所得で暮らす)が今や16%を超え、他の先進国と比較しても高い状況にある。特にひとり親世帯に多く、貧困が連鎖し、格差が固定化されてしまっている現状にある。生まれ育った環境によって夢をあきらめざるを得ない状況が少しでもなくなるよう、奨学金制度の充実は喫緊の課題だ。

私自身も、いわゆるひとり親の貧困世帯で育ち、毎日アルバイトをして生活費を稼いで暮らしていた。高3になると、受験勉強に専念するためアルバイトを辞め、その頃親は家にもいなかったため、収入が貸与奨学金の1万数千円になり、極度の貧困で毎日が飢えとの闘いでもあった。それでも、公営住宅で家賃がかなり安かったのと、奨学金を借りられたので、生き延びることができた。あのとき、もう少し奨学金の月額が多ければ、あるいは給付奨学金があれば、ひもじい思いをせず、問題集ももう少し買えただろうと思う。

2014年に新設された高校生給付型奨学金の給付額は以下となっている。

生活保護受給世帯【全日制等・通信制
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万2,300円
私立高等学校等に在学する者:年額5万2,600円

○非課税世帯【全日制等】(第一子)
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万7,400円
私立高等学校等に在学する者:年額3万9,800円

○非課税世帯【全日制等】(第二子以降)
国立・公立高等学校等に在学する者:年額12万9,700円
私立高等学校等に在学する者:年額13万8,000円

○非課税世帯【通信制
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万6,500円
私立高等学校等に在学する者:年額3万8,100円

大手予備校に通うのに十分といえるかは分からないが、高校生にとってはそれなりの額だ。たとえ家庭が厳しい経済状況にあったとしても、奨学金を最大限活用して、夢をあきらめずに挑戦していただきたい。また、大人がそのような社会をつくっていくべきだろう。まずは今回の予算概算要求が通ることを期待したい。

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