まなブロ by 本山勝寛 教育イノベーター・日本財団子どもの貧困対策チームリーダー

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

受験動画は戦国時代に入った

近頃、「受験サプリ」なるネット広告をよく目にする。「みんな始めてるのに」「なんで受験サプリやらないの?」と、マンガの女の子が挑発的な台詞で語りかけるあの広告だ。「2013年度、受験生の2人に1人が利用」を謳い文句にし、同年度に受験生30万人が利用したそうだ。

全国140大学の過去問、センター試験6年分15科目の過去問、英語・日本史・世界史の単語暗記カードの利用までが無料、プロ講師の授業動画見放題が月額980円という、リクルート社のウェブサービスだ。映像授業を提供する東進衛星予備校などと比べると破格の料金で、受験界における「破壊的イノベーション」との声も挙がっている。

確かに月額980円であれば、経済的理由で塾や予備校に通えていない層にも手の届く価格設定だ。私は東大受験時に極貧で塾に通えなかったが、厳選した問題集だけは月1万ちょっとの貸与奨学金から購入した。月1000円でハイクオリティなものが豊富に揃っていれば、真剣に検討していたかもしれない。リクルートならではのリソースをいかし、大学からの広告により、この価格設定を可能にしている。

さらに、この「受験サプリ」よりも安価、というより、全て無料で受験対策授業の動画を公開しているのが「manavee」(マナビー)だ。これは大学生発のNPOが運営しているウェブサービスで、授業も東大をはじめとた全国の大学生がボランティアで行うことにより無料運営を貫いている。家庭の経済事情や地理的環境による教育格差の是正を謳い、社会的起業に近い取り組みだ。私の勤める日本財団でも支援している。代表の花房さんの著書を読むと、その創業過程が赤裸々に綴られていておもしろい。

予備校なんてぶっ潰そうぜ。 (集英社ビジネス書)

予備校なんてぶっ潰そうぜ。 (集英社ビジネス書)

この他にもオンライン映像による受験対策や学習動画は近年になってかなり盛り上がってきている。花房さんの著書ではないが、東進や既存の予備校もうかうかしてられないだろう。まさに、受験動画は戦国時代の様相を呈してきた。

私は格差の是正という観点から、競争による教育サービスの価格破壊が進み、誰もが自由に質の高い学習機会にアクセスできる世界が実現してほしいと心底思っている。拙著「YouTube英語勉強法」も、無料で楽しく質の高い英語が学べるという観点から書いたものだ。

YouTube英語勉強法

YouTube英語勉強法

MOOCなど大学授業の無料配信や、カーンアカデミーといった無料映像授業の普及が世界的にも加速している。いま、教育のかたち、そして学びのかたちは新しい時代に適ったものへと変わろうとしている。

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