都知事選が終わった。結果はある意味予想通りだったが、投票率は46.14%と大雪も影響してか予想以上に低く残念だった。インターネット選挙運動が解禁になってから、昨年の参院選以来の全国的に注目の選挙で、それなりにネット選挙運動は定着してきた感はあるが、影響力はまだ限定的といったところだろうか。
ネット選挙はまだまだ模索段階で、よりおもしろい使われ方が出てくることを期待しているが、制度自体も継続的に改善されることを望む。昨年の参院選では、「未成年が候補者を応援するツイートをリツイートしてはいけない」という総務省の呼びかけが話題になった。公職選挙法により、未成年者の選挙運動は禁止されているので、リツイートもフェイスブックのシェアも選挙運動にみなされるというわけだ。今回はほとんど話題に挙がらなかったが、はっきり言って有名無実、非現実的であり、かつ民主主義を強化するものとは言えない制度だ。
実際に、『リサーチバンク』が16歳から19歳の未成年者に対して「選挙に立候補した人を自分のLINEやTwitterなどのインターネットサービスを使って、友人に紹介したり、応援したりする行為を未成年の人が行うことは禁止されていることを知っていますか?」とアンケートを行ったところ、66.6%が「知らない」と答えている。禁止と知らずにリツイート、シェアしているケースは相当数にのぼると推測されるが、選挙管理委員会はそれらを一つ一つチェックするのだろうか?
そもそも未成年といえども、18,19歳であれば、政治リテラシーを最も高めるべき大学生であったり、立派に働いて納税している社会人だ。彼らが良いと思った候補者についてツイートしたり、フェイスブックに投稿することすら禁止することが、本当によい制度なのだろうか?
先進国のなかでもこれだけ投票率が低く、特に若年層の投票率が低いことに対して危機感を持たなければならない。若年層人口はもともと少ない上に、さらに投票率が低く、投票ボリュームが高齢者層に比べて圧倒的に少ないため、若年世帯つまり未来に向けた政策は票にならず、実行されにくくなるからだ。
ネット選挙運動に関しては、せめて18歳以上は解禁すべきだ。大学生や新社会人が選挙について自由に論じ、意見表明する機会を保障することで、政治に関心をもち、投票行動につながるのではないだろうか。世界では約9割の国々が、選挙権は18歳以上である。日本でも、既に国民投票法で投票権18歳以上と定められている。全ての選挙権を18歳に引き下げることには賛否が別れているようだが、せめて18歳以上の選挙運動は解禁し、ツイートくらい自由にさせてあげたらどうだろう。
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