本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

「明日、ママがいない」騒動で耳を傾けるべきは施設出身者の声

日本テレビ児童養護施設を舞台にしたドラマ「明日、ママがいない」に抗議が殺到したことが話題になっている。施設の描かれ方が現実とはかけ離れたあり得ない演出になっていたり、「赤ちゃんポスト」に預けられた子どもが「ポスト」とあだ名をつけられたりしていることに対して、「こうのとりのゆりかご」(いわゆる赤ちゃんポスト)を設置する慈恵病院や、全国児童養護施設協議会は、偏見や差別を助長するとして、放送中止要請など抗議を表明している。

このドラマが始まる前、児童養護施設の問題や子どもたちのリアルな姿が社会に広く伝わるよい機会になるのではと期待していたが、演出が現実とかけ離れ、このような騒動になってしまっていることは残念だ。しかし一方で、このような形であっても社会の話題になったことが、多くの人にとってこの問題を考える機会になれぱと思う。

私が今回特に注目し、耳を傾けるべきだと思うのは、実際に児童養護施設出身の方々の声がツイッター上で挙がり、まとめられていることである。これは、抗議を出した施設運営者という「大人」の視点ではなく、施設で育った「子ども」という一番の当事者の視点だからだ。その声は、togetter「明日、ママがいない」施設出身者の方々の反応にまとめられているが、ぜひ読んでみていただきたい。以下、その一部を引用する。

録画していた「明日、ママがいない」を見た。賛否両論あるようだがドラマとしてはよくできていると思う。ネットを見ていると施設関係者は否定的、施設出身者は肯定的な意見が多いというのが興味深い。ドラマもネットも今後の展開が楽しみ。
ai_kizuna

「明日、ママがいない」児童養護施設で育った私から見ても、別に悪いドラマじゃないと思うんだけどな。「子供たちが傷つく」とか腫れ物に触るようにして、実際はその問題の根本から目を背けてるだけっていうこともあるからね…。
happy_amberblue

施設は最初
あのドラマみたいに怖かった
職員も悪魔に見えた
だから大人の視点ではなく
子供の視点でドラマにしてくれて
子供にとってはめっちゃ感謝してる
大人は子供の面倒をみたいから
働いてるんでしょ?
それともお金のため?
だったら辞めろ!
その子の親になる覚悟で働け!
と思う
zetu_uragiri

明日、ママがいない。
まぁ話題になってるから…調べて見たけど、まさかの児童養護施設系の話。
正直、児童養護施設出身としては、住みにくい偏見呼ぶかもだけど、どっちにしろ偏見は多いし、そんなんでうだうだ言ってたら生きていけない。
小さい頃に周りの偏見を知ることも大切。
kai030108

「明日、ママがいない」というドラマについて抗議をしているのが、施設育ちの人または現在施設で暮らしている子どもならまだわかる
働いている職員、病院関係...所詮は大人のエゴでしょ
誰も望んでいないのに
何か都合の悪い事でもあるのかな?
Risa_940214

「明日、ママがいない」について、「施設の実情はうんたら〜」とか「施設というものが誤解される」とか言ってる大人ども!施設育ちのわたしからしたら、そんな事どうだっていいんだよ!
そんなところに着目しているようじゃ、まだまだ子どもの気持ちなんてわかってないね
Risa_940214

興味深いのは、施設関係者の大人側と施設出身者の子ども側で賛否が全く異なる点だ。怖くて暗い施設のあり得ないと思われる演出も、子どもにとって逆にリアリティがあるという声すらある。

おそらく、ツイッターソーシャルメディアがなければ、こういった本当の当事者の声は社会に届いていなかっただろう。もちろん、出身者のなかでも感じ方は様々だろうし、ツイッター上に出てきている声はその一部でしかないわけで、出身者はみなこう考えているといった括りは避けるべきだろう。

ところで、このtogetterをまとめているのは、児童養護施設出身で「りさり」というペンネームの漫画家さんだ。自身の施設での体験をベースにした「いつか見た青い空」という漫画を描かれているが、子どもの視点からみた施設での生活のリアルで等身大な姿が描かれ、とてもよい作品だ。施設という括りにおさまらない、人として大切な普遍的なメッセージも込められている。「ダ・ヴィンチ」でも「絶対はずさない!プラチナ本」に選ばれている。

今回のドラマや一連の騒動で関心をもった方々は、ぜひこちらを読んでみることをお薦めしたい。我々が注目すべきは何よりも当事者の声、子どもたちの視点なのではないだろうか。

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