センター試験が近づいている。受験生は緊張しながら勉強に励んでいることだろう。試験直前にもなれば、慌てて新しいことに手をつけるより、これまでやってきたことの確認や、本番当日と同じ時間割で過去問などを解いてみるのもよいだろう。2年生は先輩の受験本番が過ぎると、いよいよ自分たちも本格的な受験生だという気持ちになっているかもしれない。
振り返ると、私が大学受験を意識したのは高校2年のこの頃だ。それまでアルバイト三昧で全く勉強しておらず、成績も振るわなかったわけだが、東大受験を決意して本格的な勉強を始めた。塾に通うお金どころか、問題集を十分に買うお金もなかったので、まずは東大合格者がどんな参考書や問題集を使って、どんなスケジュールで勉強したかを、合格体験記を徹底的に精読して研究し、その厳選した問題集のみ購入してボロボロになるまで勉強した。
結局、その戦略が功を奏して合格できたわけだが、そのときは偶々リソースに限りがあったため、合格体験記を徹底研究して戦略と計画を立てるという、今考えれば当たり前のことをやっていたわけだ。しかし、そんな当たり前のことが学校教育ではあまり教えられていないように思う。
学校では各教科毎の教科書が与えられ、そのなかの個々の知識が教えられる。しかし、そもそも君たちがいま専念している勉強とは何か。なぜ君たちは学ぶのか。そして、どのように学び、勉強すればよいのか、といったことは教えられない。いわば、学校に「勉強の教科書」は存在しないのである。
よくよく考えてみれば、学校で習った微分積分や大化の改新の年代といったような個々の知識が、社会に出て役に立つかどうかは、どういった仕事をするかによってくるわけで、どちらかというと役立たないことの方が多い。しかし、どのようにすれば効果的に新しいことを学び、検証し、創造できるのかといったことや、そもそもの学びへ知的好奇心などは卒業後も普遍的に必要とされる能力である。
だとすれば、国語や数学の教科書はあるのに、「勉強の教科書」がないのは不思議なことのように思う。私自身は自分の体験や、ハーバード教育大学院等で得た知見をもとに「勉強の教科書実践編」のたたき台のようなつもりで「16倍速勉強法」という本を書いた。ありがたいことに版を重ね、先日も文庫本の四刷が決まり、単行本と文庫本合わせて5万人の方に、翻訳された韓国、台湾、中国の方も含めれば10万人近くの方に購読いただいているようである。
16倍速勉強法―「東大」「ハーバード」ダブル合格 (光文社知恵の森文庫)
- 作者: 本山勝寛
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勉強法の本なんて巷には溢れるほどあるし、勉強の仕方は百人百様で、教科書をつくるような類のものではないという意見もあろう。ただ、勉強とは何か、なぜ勉強するのか、どのように勉強すればよいのかといったことを真剣に考えることは、一つ一つの知識を得ることよりも重要であるように思うのである。
「勉強の教科書」・・・もしつくるんだったら、どんなものになるんでしょう。どなたか、「勉強の教科書を創る会」でも一緒にやりませんか?