まなブロ by 本山勝寛 教育イノベーター・日本財団子どもの貧困対策チームリーダー

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

奨学金は学生ローンに名称変更すべき?

奨学金問題について昨年から継続して投稿している。世の論調としては、「奨学金がサラ金より悪質」だとか極論ともいえる奨学金制度たたき(というより事実誤認)から、最近は徐々にフェアな論考が散見されるようになった。そのなかで一理ある指摘として、「奨学金という名前が誤解を与えている。給付ではなく返済が必要なのだから、学生ローン(または教育ローン)という名前に変えろ」というものだ。

これについてはもっともな指摘であり、世間からタタキを受けている日本学生支援機構のためにも、「有利子奨学金」が借金であることが分からない大学生のためにも、一考に値する提案だ。

とはいえ、この案にもメリットとデメリットが考えられる。メリットはもちろん、条件は良いがあくまで借金であり、卒業後に借りたお金は返す責務があることを学生にしっかりと理解してもらうことである。借りる際に、本当にその金額を将来返すことができるのか、真剣に考えるよう促す効果は多少あるのかもしれない。

デメリットは、「奨学金」という公的性を帯びた名称を外し、ローンというビシネスライクな名称に変更することによって、利率を可能な限り低く設定するという現在働いていると思われる効力が薄れる可能性があることである。

学生支援機構の第二種有利子奨学金と金融機関の教育ローンの利率は以前も比較したが、機構の場合、上限利率3%だが、実際には市場金利に合わせて金利設定され、変動利率の場合が現在0.3%前後、固定利率でも1%台だ。一方、みずほ銀行の教育ローンの場合、変動で3.375.%、固定で4.80%になっている。この利率の差が大きいことは言うまでもない。

だが、もし奨学金という名前を外して学生ローンという名称にすれば、たとえ利率が現状よりも上げられ、しまいには上限の3%に設定されても、批判しづらくなるのではないだろうか。ローンなのだから、一定の利率があるのは当たり前だからだ。

実際に、日本政策金融公庫が行う国の教育ローンは、親が対象だが、利率が現在2.35%に設定されている。金融機関の教育ローンよりも低いが、日本学生支援機構の有利子奨学金も学生ローンという名前になれば、このくらいに利率が上げられる可能性は否定できない。回収方法が今以上にビジネスライクになることも考えられよう。

学生ローンという名称変更には反対ではないが、そういったことも十分に考慮し、たとえば利率を可能な限りおさえる計算式を明文化、規則化したうえで、実施することを提案したい。