まなブロ by 本山勝寛 教育イノベーター・日本財団子どもの貧困対策チームリーダー

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

殺人件数が戦後初の千件未満は純粋に素晴らしいのではないかと

決して「明るい」と表現することは適切てはないが、十分に評価すべきニュースが流れていた。「殺人件数、戦後初めて千下回る 11年連続で刑法犯減少」(共同通信)

 昨年1年間の刑法犯認知件数は前年比6万1373件(4・4%)減の132万748件で、11年連続で減少したことが9日、警察庁のまとめ(暫定値)で分かった。殺人(未遂、予備容疑を含む)は91件(8・8%)減の939件で、戦後初めて千件を下回った。
 窃盗犯は5万4138件(5・2%)減の98万6309件で、100万件を切るのは1973年以来、40年ぶり。

マスコミ報道だけをみていると、日本は年々凶悪犯罪が深刻化しているかのような印象を受けるが、実は殺人件数や比率は戦後一貫して減少傾向にある。特に、失われた20年と言われてきたこの期間、経済指標だけでなく、生活保護世帯数や自殺者数、離婚率、児童虐待数などあらゆる社会的データが負の面で増加してきたのに対して、一貫して減少、改善されていることは大いに評価すべきだ。

国際的にみても、日本の人口10万人あたりの殺人件数はかなり低いほうで、リヒテンシュタインシンガポールなどに並ぶ世界トップレベルだ。人口の多い国のなかでは突出して低い。「世界一安全な国」であることを、日本人自身が誇りに思ってよいし、もっと国際的にアピールしてもよいのではないか。

マスコミは、センセーショナルな凶悪ニュースこそ「売れるニュース」という考えから離れられないので、殺人件数が戦後最低だったことなどは地味な紹介程度で、一件の殺人事件をこれでもかと報道する。NHK国際放送も同様に、殺人事件ばかりを海外に垂れ流すので、当然日本のイメージが悪くなる。不自然な操作は必要ないが、「悪いニュースが良いニュース」ではなく、もっと「良いニュースは良いニュース」としてしっかり報道することで、ありのままの姿を伝えてほしいものだ。

もちろん、今回殺人件数が減少した一方で、「振り込め詐欺が2869件増えた影響で詐欺は3648件(10・5%)の増加。凶悪犯では殺人のほか、強盗が9・0%減ったが、強姦が13・7%、放火が5・7%増えた。」とあるように、改善点ばかりではない。特に強姦がそれだけ増えていることは深刻だ。また、殺人事件が年間千件を切ったと言っても、一人一人の命の重みと遺族の悲哀が減るわけではないことも忘れてはいけない。

問題点はその原因と考えられる対策をしっかりと分析し、改善点はしっかりと評価し次につなげる。そういった報道が丁寧になされることで、社会は少しずつでも前進していくのではないだろうか。