まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

育休給付金67%は帯に短し、タスキに長し

厚生労働省が、育児休業給付金を給与の50%支給から67%に引き上げることを検討しているという報道があった。対象となるのは半年間で、妻と夫が半年ずつ取得すれば、妻の最初の8週間の産休期間と合わせて合計1年2ヶ月の間、67%支給が可能となるという計算だ。取得率1.89%と低迷する男性の育休取得を促すために、経済的インセンティブを高めようという施策だ。

私は過去2回育休を取得した身として、育休給付金の給付率の低さが男の育休取得の一つの障壁になっていることを肌身で感じてきたので、男性の育休給付率の増額を常々訴えてきた。その点から、今回の狙いについてはある程度評価したいが、やはり「男の育休取得アップ」という目的を考えると、「帯に短し、襷に長し」と言わざるをえない。給付率が67%になったとしても、多くの場合、一家の家計を支えているであろう男性が一定期間育休を取るのにはなお足りない。給付率8割と社会保障費免除がセットになって初めて経済的に可能になり、文化的な障壁を打ち破るだけのインセンティブになるのではと推測している。

財源問題もあり、女性も含めて増額すると対象者が圧倒的に多いため、雇用保険の増額か税金によって補填されなければならない。男性のみに対象を絞れば、実際の取得者が当面は少ないため大幅な負担増は必要ない。

さらに、現実として育休を取りにくい非正規雇用者や中小企業、退職した専業主婦には恩恵が行かず、不公平感も増す。もし女性も含めるとしたら、フィンランド型の在宅育児手当制度を提案したい。これは、3歳以下の子どもを保育所に預けずに家庭で育てる場合に支給される給付金だ。育休を取ろうが、退職して育児に専念しようが等しく支給され、保育園に預けた場合に使われている税金の一部を直接受け取るという考え方で、より公平だといえる。もし雇用保険ではなく税負担でカバーするなら、そちらの方が納得がいく。今回増額が検討されている17%分程度、つまり月3〜5万円の家庭育児手当を、育休給付を受けられない方や男性の取得者に限って支給してはどうだろう。公平性の担保とともに、少子化対策にも大きく効果を発揮するのではないだろうか。