今日は陰暦で8月15日、中秋の名月だったそうですね。中秋の名月に必ずしも満月がみれるとは限らないそうですが、今年は満月の日と重なった年で、次みれるのは8年後だとか。
私は今エチオピアに来ているんですが、タナ湖という同国最大の湖の湖畔に宿を取っています。そんな折、夜空を見上げてみると、ぽっかりと満月が浮かんでいました。まさかこんなところで中秋の名月がみれるとは、思ってもいませんでした。最初は、ただのきれいな月にしか見えませんでしたが、じわじわと何だか感じるものがありました。
杜甫の詩にこんなのがありますね。
「月夜」
今夜鄜州月
閨中只独看
遥憐小児女
未解憶長安
香霧雲鬟湿
清輝玉臂寒
何時倚虚幌
双照涙痕乾今夜、ふ州の空を照らしているこの月を
妻は部屋から独り、眺めていることだろう
私は幼い子どもたちのことを不憫に思う
長安に私がいることすら、よく理解できないのだから
夜に香る霧は妻の髪を濡らし
その白い玉のような腕は、清らかな明かりに冷たく照らされているだろう
いったいいつになったら、あのとばりの中に寄り添って
二人月光に照らされながら、この涙を乾かすことができるのだろうか
(拙訳)
私はいま、
1300年のときを経て、
地球の裏側の、
もしかしたら人類の祖先の地であるエチオピアで、
杜甫と同じ月をみて、
同じ想いを抱いているのだなあと、
そんなふうに感じた夜でした。