まなブロ by 本山勝寛 教育イノベーター・日本財団子どもの貧困対策チームリーダー

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

【教科書掲載熱望】イチロー4000本会見とブルーハーツ

日米通算4000本安打を達成したイチローの記者会見全文が掲載されていて、思わずぐっときました。まるで、革命の詩か哲学書を読んでいるかのような錯覚を覚えるほど味わい深い言葉です。国語の教科書に掲載することを熱望します。

まずこれ。

「ヒットを打ってきた数というよりも、こういう記録、2000とか3000とかあったんですけど、こういうときに思うのは、別にいい結果を生んできたことを誇れる自分では別にないんですよね。誇れることがあるとすると、4000のヒットを打つには、僕の数字で言うと、8000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。それと常に、自分なりに向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたらそこじゃないかと思いますね」

これだけでもう名文ですね。4000本安打のときに、8000本の凡打、8000回の悔しい思いに向き合ってきたことを誇りに思うって、言葉が見つからないですけど、すごいですよ。4000本打ったこと以上にすごい。

─これから見据えていくもの
この質問にも、世界記録とか、次のヒットとかそういう答えではないんですね。

「これからも失敗をいっぱい重ねていって、たまに上手く行ってという繰り返しだと思うんですよね。何かを、バッティングとは何か、野球とは何か、ということをほんの少しでも知ることが出来る瞬間というのは、きっと上手く行かなかった時間とどう自分が対峙するかによるものだと思うので、なかなか上手く行かないことと向き合うことはしんどいですけど、これからもそれを続けていくことだと思います」

で、ときおり挑戦的なことも投げかけています。

─フィールドに立つ前の準備をきっちり積み重ねてきた
「それは当たり前のことですよね。それにフォーカスが行くこと自体がおかしいと思いますけど。それがあまりにもない、ということじゃないですか。それを証明しているんじゃないですか」

「だからそういう年齢に対する偏った見方というのが生まれてきたんでしょうね。そういう歴史が、気の毒と言えば気の毒ですよね。そういう偏った見方をしてしまう頭をもっている人に対してお気の毒だなあと思うことはあります」

これはもう野球の話ではなくなっている。社会への挑戦、ガリレオが「それでも地球は回っている」と命懸けでつぶやいた革命的な言説のようにも聞こえます。

で、そのクライマックス的なところで、なんとブルーハーツの歌詞と思われる言葉が出てきます。

─諦めるという瞬間はあるのか?
「きわどいとこきますね。これは駄目だな、言わないほうが良いと思いますね。ちょっとややこしい言い方になりますけど、ま、諦められないんですよ。色んな事は。諦められないという自分がいる事を、諦めるという事ですかね。諦められない自分がずっとそこにいる事はしょうがないと言うふうに諦める。なんか、野球に関して妥協はできないので、まあもうちょっと、なんだろうな、ま、休みの日は休め、こっちの人みんな休むじゃないですか、そういう事ができないんですね僕は。そういう自分がいる事は仕方のない事なので、そうやって諦めます」

これ、ブルーハーツの「泣かないで恋人よ」という歌の中で、「あきらめきれぬ・・・」で始まる、ほぼ同じ歌詞があるんです。

イチローが大のブルーハーツファンであることは有名で、大リーグ一年目のときとか、年間最多安打達成前とかにブルーハーツばかり聴いてたっていう話をインタビューでしてるようなんですね。で、今回もやっぱりブルハ聴いてたんじゃないかなって、勝手に想像しちゃいました。一年目は「未来は僕らの手の中」だったけど、いろいろあってヤンキース移籍して4000本の前に聴いてたのは、「泣かないで恋人よ」だったんじゃないかと。

それで?と思う方もいると思いますが、僕はブルーハーツが死ぬほど好きなんで、もうこれはたまらないわけです。

やっぱり教科書に載せるしかないんじゃないかと思うんです。噛みしめて、噛みしめて、チューインガムのように味わいたい会見だったなと、4000本という記録とともに感動をいただきました。

一生伸び続ける人の学び方

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