結婚の科学 恋愛と見合いどっちが幸せ?
先日、『選択の科学』という観点で選挙について考えてみたが、今回は結婚について考えてみたい。というのも、同著のなかで、恋愛結婚と取り決め婚(お見合い結婚)を比較した面白い研究結果が紹介されていたからだ。
- 作者: シーナ・アイエンガー,櫻井 祐子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 単行本
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これは取り決め婚が90%を超えるインドにおける研究であり、そういった批判も考えられる。気になったので日本の場合も調べてみた。日本は1970年くらいから離婚率が高まっており、現在では結婚した夫婦の3組に1組が離婚している状況だ。もやは離婚は珍しいことではない。これを結婚の仕方で見てみると、恋愛結婚の離婚率は40%で、お見合い結婚の離婚率は10%とのこと(全国仲人連合会調べ)。意外にもお見合い結婚の方が離婚率が低く、上記のインドでの研究結果と一致する。
これは、お見合い結婚の場合、結婚がゴールではなくスタートと考え、時間をかけて愛を育む傾向にあり、結婚前と結婚後の理想と現実のギャップも少ないからと言われている。また、相手の条件を冷静に判断したり、親や第三者の意見を聞く機会があることも理由に挙げられる。
今でこそお見合い結婚は約5%とマイナーな結婚形態だが、1940年代は日本でも70%近くがお見合い結婚だったという。ひょっとすると、お見合い結婚の割合の減少と離婚率の増加は無関係ではないのかもしれない。また、少子化の最大の要因と考えられている近年の晩婚化・未婚化も、お見合い結婚が少なくなったからという指摘もある。たしかに、結婚を親や周囲が後押しする仕組みがなくなり、完全に個人の力量と選択に任せられるようになってきたわけだから、かつてより相手を見つけるのが難しくなったことはうなずける。
「選択の科学」でも、多過ぎる選択肢は限られた選択肢から選ぶよりも満足度が低いという研究結果があるが、無数に存在する異性から生涯のパートナーを選ぶより、親や第三者から紹介される少数の相手から選択する方が満足度が高い結果になるのかもしれない。
現代人は恋愛して結婚するのが当たり前で、お見合いはダサいという固定観念に凝り固まっているが、結婚なんて人それぞれだ。お見合い結婚も捨てたもんじゃないし、ひょっとすると離婚率増加と少子化に対する効果的な対策になったりするかもしれない。もちろん、これらはあくまで統計上の話であって、恋愛だろうがお見合いだろうが、幸せになるかそうでないかは人それぞれであり、どちらにせよ夫婦の互いの努力が重要であることは言うまでもないが。