まなブロ by 本山勝寛 教育イノベーター・日本財団子どもの貧困対策チームリーダー

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

うんちのうんちく

今日は非常に重要な話を書きたいが、食事中の方は本記事を読まれないよう、ご注意いただきたい。何の話かというと、表題の通り「うんち」の話だ。そう、我々が生涯にわたってほぼ毎日、およそ3万回ほど行うであろう行為についてである。

このことを書こうと思ったのは、私がいま三人の小さな子どもたちの育児に励むことで、毎日何度もそのモノを拝む機会を得ているからだ。まず、二歳の娘はまだオムツが取れていないので、オムツに産み落とされたモノを処理することになる。これがまた、たまらなく臭く、お尻を拭いたあとの手にはなかなかおちない匂いがこびりつくことになる。人間、肉を食べ始めると、モノが臭くなるのだが、娘の場合、納豆が大好物なので、これに拍車をかけている。四歳の息子はオムツが取れたが、まだ完璧ではないので、たまに漏らしてしまう。この場合は、モノがついたパンツを手洗いするという作業が待っている。

こんなことを書くのは、きたなくて臭い、普通なら敬遠して当然のうんちを、何の抵抗もなく、ときに喜びをもって処理できる自分に(というか世の親すべてに)驚きを覚えるからだ。そのメカニズムはおそらくこうだ。

私の三番目の赤ん坊はまだ生まれたばかり。うんちは一日小さいのも含めると8回くらいする。このうんちがなんと黄色くて臭くなく、サラサラとして量も控えめで、なんともかわいいのだ。赤ちゃん自身の可愛さも合間って、うんちのオムツ替えにほとんど抵抗を感じない。これは初めてのときからそうだった。つまり、人間のうんちは大きくなっていろんなものを食べるようになると、臭くてデカくてネバネバして見たくもないシロモノになるのだが、産まれたてのうんちは臭くもないかわいいうんちで、親が抵抗なく処理できるようになっているのである。そうやって初心者に慣れさせながら、徐々にレベルアップされるわけだ。

ちなみに、うんちの形態はこの後様々に変化し、我が家ではコロコロうんちとか、お団子うんちとか、バクダンうんちとか、カレーうんちとか名付けることで、子どもたちの体調情報に関するコミュニケーションをはかっている。子どもたちも興味しんしんで、あまりにも好きなのでうんち図鑑を買って、いろんな動物のうんちを勉強させている。

う・ん・ち (福音館の科学シリーズ)

う・ん・ち (福音館の科学シリーズ)

ここまでは重要な前置きで、もうちょっとだけ「うんちのうんちく」を述べさせていただきたい。本題はイノベーションの話である。まず、私たち個人が最もイノベーションを起こしやすい時間、すなわち新しいアイディアが思い浮かぶ場所はどこだろう?マイナビニュースの「アイデアが浮かびやすい場所」ランキング調査によると、なんと「トイレ」なのである。男性は1位、女性も4位にランクインしている。

<アイデアが浮かびやすい場所ランキング(男性編)>
1位 トイレ 22.2%
2位 お風呂・サウナ 19.6%
2位 車や電車の中 19.6%
4位 ふとんの中 19.1%
5位 歩いているとき 15.3%
6位 会社のデスク 7.4%

<アイデアが浮かびやすい場所ランキング(女性編)>
1位 ふとんの中 28.8%
2位 お風呂・サウナ 24.0%
3位 歩いているとき 23.4%
4位 トイレ 18.6%
5位 車や電車の中 17.0%

この調査結果は、中国古代でも思考と発想が進むとされる馬上、厠上、枕上の「三上」と一致する結果であり、どうやら人間の文明史以来の法則のようだ。トイレの時間とはすなわちうんこの時間であり、この生理現象と人間のイノベーションに関する謎深い関係は実に興味深い。繰り返して言う。事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!

さらに、謎といえばもっと謎なのが、本屋に行ったときによくうんこに行きたくなる件だ。私は最近までこのことを内緒にしていたが、ある人と話が一致して盛り上がったので、検索してみると、なんと「青木まりこ現象」という名前まで付けられているほど一般的な現象のようだ。そういえば、本屋でトイレに行くといつも誰かが入っていて困るのである。この現象の原因には諸説あるようだが、私は、本屋で大量の知識と情報のインプットがなされると、思考のイノベーションをアウトプットしようとする能が人を最高の環境であるトイレに導くのだと解釈している。

最後に、世界一のお金持ちの話で「うんちのうんちく」について締めくくりたい。そう、ビル・ゲイツだ。ゲイツ夫妻率いるゲイツ財団は2011年、「トイレの革命」プロジェクトのために約42億円を拠出すると表明して話題になった。いわく、過去200年のイノベーションの中で、水洗トイレほど大量の人命を救い、人びとの健康を改善したものはない。しかしその排泄革命は、まだ世界の総人口の1/3にしか到達していない。適切なトイレを使っていない人たちは26億人以上いるが、重要なのは正しい排泄物処理のためのインフラの構築だ。長持ちのする衛生的なトイレが普及しても、排泄物が水路に垂れ流しではなんにもならない。最終目標は、排泄物そのものの衛生的な処理や、資源としての有効利用だ、とのこと。最近も、ビル・ゲイツ本人が会員200人がノーベル賞受賞者という全米科学学会で熱弁を奮っていた。ビル・ゲイツはどうやら本気である。

公衆衛生の観点からこの発想は正しいのだが、もしトイレ=うんこを安心してできる環境のもつイノベーションの力にも目をつけているのであれば、希代の天才としかいいようがない。(え?そんなわけないって?)

ということで、食事中に読んではいけない、人類の未来にとって重要な「うんちのうんちく」でした。