本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

【サザエさんと少子化】三世代同居と子育てを考える

先日、国会で民主党議員と安倍首相との間でこんなやり取りがあって、話題になった。

民主党高橋千秋議員:「サザエさんに出てくる波平さんというお父さんがいますね。いくつか、総理、ご存知ですか?」
安倍首相:「57歳ですか。」
民主:「54歳です。総理より4歳若いんです。フネさんは52歳、サザエさんは24歳です。」

このやり取りは、波平が54歳で3歳の孫をもつおじいちゃんであることを引き合いに、少子化の原因の一つに晩婚化があり、その対策が必要ということを言うための質問だ。

確かに、晩婚化・未婚化は少子化と同じトレンドで進んでおり、結婚が遅れればそれだけ子どもを産むタイミングが狭まる。女性の不妊症の割合も20代前半が6%なのに対して、30代後半だと30%、40代だと64%にのぼるというデータもある。そのため、晩婚化の要因とも考えられる不安定な非正規雇用の問題や、若者の失業・ニートなどの対策を進めることが、少子化対策にもつながると考えられる。また、こういった基本的なデータを学校で教え、結婚について真剣に考えることも必要だろう。

ここでは、さらに「サザエさん一家」に注目して、三世代同居と子育てについて考えてみたい。実は、筆者自身は妻の両親と一緒に住んでいるいわゆる「マスオさん」である。義父母ともに働いているため、いつも子どもたちをみてもらえるわけではないが、料理を共有したり、ピンポイントで子育てを助けてくれたり、私が海外出張に行くときなどは特に助かっている。出張の際の妻の負担を考えると、もし義父母が側にいなかった場合を想像するとぞっとする想いだ。おかげで様で、晴れて3人目の子どもを授かることができ、義父母には夫婦ともに心から感謝している。さらに経済面でも、家賃をシェアしているので、住居費が安く済んでおり、30代前半でも何とか子ども2人(もうすぐ3人)を養えている。

とはいえ、多くの人は、三世代同居なんていまどき難しいでしょと思われるだろう。都市部ではサザエさん一家のような広い一軒家を購入することは至難の業だし、お互いのプライバシーを守りたいという気持ちも分かる。実際に、三世代世帯は年々減少し、1975年が17%だったのに対して現在は8%前後だ。

しかし、2008年にはそれが一度増加に転じるなど変化の兆しもある。住宅メーカーも様々な形態の二世帯住宅を積極的に売り出している。三世代(二世帯)同居を選ぶのは、長引く不況による経済的理由に加え、親に子育てを手伝ってもらえるという理由も大きい。同居はしない(できない)にしても、近隣に住んだり、同じマンションやアパートで暮らすというパターンも増えてきている。

また、子育てのことを考えると、夫の両親と同居して嫁姑問題に悩まされるより、妻が気兼ねなく親に家事や育児を手伝ってもらえるよう、妻の両親と同居するパターンも増えているという。つまり、私のような「マスオさん」パターンだ。親世帯が50代と若い場合には、49%が娘夫婦との同居を考えており、こうした割合はとくに関東・首都圏で高いという調査もある。

実際に統計を見てみても、三世代同居比率が高い地域は出生率が高い傾向にあり、核家族世帯よりも三世代世帯の方が平均児童数が多い。こういった傾向も踏まえ、千葉市など三世代同居または近隣居住の支援を政策として実施している自治体もある。

すぐさま三世代支援の政策を実施せよとは言わないが、結婚を考えている方、育児に孤立して悩んでいる方、マイホームの購入を考えている方、それにかわいい孫がいらっしゃる方も、ぜひ三世代で支え合い、学び合う暮らしを考えてみてはいかがだろう。男性の皆さん、マスオさん生活も決して悪くはありませんよ。