まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

インド版巨人の星が熱い〜メディア界の皆さん、日本を売り込みましょう

あの「巨人の星」がインドで放映されている。それも、野球ではなく、インドで熱狂的人気を誇るクリケットとしてリーメークされて。その名も、「スーラジ ザ・ライジングスター」。

一定以上の年齢の日本人なら誰もがはまり、影響を受けた伝説的アニメ、巨人の星。その当時の日本における野球/ジャイアンツ人気を上回る熱狂ぶりで、インド人にこよなく愛されているのがクリケットというイギリス発祥のスポーツだ。私もインド出張の際には、ホテルや空港でよくクリケットが放映されているのを観る。なんと、インド対パキスタン戦のテレビ中継は80%にものぼり、プロ選手の平均年収はなんと約3億円だ。日本のプロ野球選手を優に超えている。

そんなクリケットに熱狂的な、人口12億の経済発展著しいインドだからこそ、経済成長期の日本人を虜にした巨人の星が大ヒットするに違いない。そんなひらめきともいえるアイディアを、いくつもの障壁を乗り越えて実現させたのは、講談社の古賀義章さん。私も何度か会食させていただいたことがあるが、インドが大好きな、世界の中の日本を見つめるおもしろい人だ。世界中の日本に関する記事をまとめた雑誌『クーリエ・ジャポン』を立ち上げ、編集長を5年務めた。とても面白く有意義な情報が詰まった雑誌で、私も大変愛読している。

古賀さんは、まさに“世界から日本を見つめる”という視点のメディアを開拓してきたわけだが、今度は“日本の武器になるものを外に出していく”という挑戦をしている。日本のマンガ・アニメが世界で愛され、よくみられていることは知られているが、現地用にリメークして売り出すということと、インドでの日本のメディアが進出したことはこれまでなかった。講談社の国際事業局で1人の担当部をつくって、ゼロから立ち上げ、昨年末に放送が実現。全26回を6月まで放送する予定だ。その紆余曲折の立ち上げストーリーが、古賀さんの近著『飛雄馬、インドの星になれ!』であかされていて、おもしろい。

飛雄馬、インドの星になれ!―インド版アニメ『巨人の星』誕生秘話

飛雄馬、インドの星になれ!―インド版アニメ『巨人の星』誕生秘話

スポーツ報知によると、これまでの平均視聴率は0.2%。インドでは、テレビの普及率が約50%。しかも約700のチャンネルがあり、テレビ局別の平均視聴率では、トップでも0.66%で、0.2%に達しているのが10チャンネルのみ。0.2%でも大健闘の数字ということだ。現在はインド版「あしたのジョー」の企画も検討中とのこと。いろんなアニメやマンガが増えることで、その地で文化が定着し、より多くの人に観てもらえるようにもなるだろう。さらに、「ライジングスター」はインド以外にもクリケットが人気なイギリス、オーストラリア、パキスタンなどでの放映も目指しているもよう。そういう点で、巨人の星のデビューは現在の数字以上の価値がある。

日本のメディア界は総じて、これまでどちらかという内向きだった。アニメやマンガが世界で人気だといっても、ポテンシャル以上に輸出産業として成長させ切れていない。アニメ企業の海外収益推移は2006年の31億円をピークに年々海外での売り上げが下降傾向。アニメ企業だけでなく、出版社、新聞社、テレビ局ともに日本市場だけで満足し、安住してきたのではないか。
そろそろ、日本のメディア界も大リーグ養成ギブスを装着して、世界に打って出るべきである。インド、中東、南米、アフリカ、まだまだ未開拓の市場がたくさんある。

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