まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

新法王の来日招聘を安倍首相に提言します!〜日本との意外な深い関わり

ローマ法王フランシスコ1世の就任が決まった。アルゼンチン出身で、欧州出身者以外ではきわめて稀(730年代のシリア人以来1272年ぶり)、アメリカ大陸出身者としては初ということもあって、世界中に大きな衝撃を与えた。

私自身は新法王が決まった直後の14,15日と、フィリピン、ブラジル、エチオピア、アメリカ、インド、スリランカなどからお客さんを招聘し国際会議を開いていたのだが、会議の直接のテーマでなかったにもかかわらず、新法王の話題でもちきりだった。それでけ、世界にとって歴史的な大事件なわけだ。

そんな世界的大事件を日本はどう報道するのか気になって、14日の会議後の夜、ヤフーのトップページを覗いてみた。すると、ヤフートピックスのタイトルが“新法王に観衆「誰?」の声も”という、超肩すかしなものになっていて愕然とした。記事自体は有力候補ではなかったことを伝える内容であり、確かに日本人にとっても素直な感想かもしれない。それにしても、世界が熱狂しているのに、「誰?」はないだろう。

オバマが黒人で初めてアメリカ大統領になったときとは雲泥の差だ。グローバル人材の育成が盛んに叫ばれているが、英語だけじゃなくて、こんなところからもメディア、国民、知識層が意識と教養を拡げていかないと、世界が何を考え、どう動いているのか到底理解できない。

新法王は、南北米大陸から初であることはもちろん、法王名に「1世」とついているように、フランシスコを名乗ったのも初めて、さらにイエズス会出身者であることも初めてと、初づくしなわけだ。そして、この初の内容こそが、実は日本との意外な関わりのある部分でもある。

まず第一に、ホルヘ・マリオ・ベルゴリオという名前からフランシスコ1世という法王名を名乗ったのは、アッシジの聖フランチェスコ(フランシスコ)からの由来と考えられている。ハンセン病患者との改心的な出会いをきっかけに、貧者と共に生きた清貧の聖者とされる13世紀イタリア出身の人物だ。一般的には、「フランシスコの平和の祈り」という以下の祈祷文で有名だ。


神よ、わたしを、
あなたの平和のために用いてください。
憎しみのあるところに、愛を
争いのあるところに、和解を、
分裂のあるところに、一致を、
疑いのあるところに、信仰を、
絶望のあるところに、希望を、
悲しみのあるところに、よろこびを、
暗闇のあるところに、光をもたらすことができるように、
助け、導いてください。
神よ、わたしに、
慰められることよりも、慰めることを、
理解されることよりも、理解することを、
愛されることよりも、愛することを望ませてください。
わたしたちは、
与えることによって、与えられ、
すすんでゆるすことによって、ゆるされ、
人のために死ぬことによって、永遠に生きることができるからです。

フランシスコという法王名には、アルゼンチンで貧者と共に清貧生活を過ごしてきた新王法の決意が込められているわけだ。さて、ここまでは日本と直接の関係があるわけではない。そこでもう一人、私たちが知っている聖フランシスコを思い出してほしい。

そう、フランシスコ・ザビエルだ。私なんかは小学生の頃、頭の上がカッパのようにはげていた先生に「ザビエル」とあだ名をつけてバカにしていたのだが、そのくらい日本人なら誰でも知っている有名人ということだ。歴史の教科書にも出てくる、日本に初めてキリスト教を伝えた人だ。個人的には、私の出身地である大分で宣教活動をしていたことから、より身近に感じている。また、イエズス会の創設者の一人でもあり、新法王が初のイエズス会出身という点からも日本との関係がみえてくる。

ザビエルの見た日本 (講談社学術文庫)

ザビエルの見た日本 (講談社学術文庫)

イエズス会の特徴として、ザビエルのように積極的な海外宣教が挙げられるわけだが、まさにザビエルらが日本に訪れた16世紀と同じ時期に、南米にもキリスト教が伝わった。つまり、初の南米出身法王が誕生したということは、その頃の宣教対象国から法王がうまれたということであり、歴史のボタンが少し違ったかけ方をされていたら、日本から法王がうまれてもおかしくなかったとみることもできる。

イエズス会のもう一つの特徴は、高等教育を重要視してきたことで、欧米およびアジア各国で多数の大学を設立している。日本で有名なのは上智大学だ。これも16世紀にザビエルが、「日本は知識に飢えている」と痛烈に感じ、大学設立構想の手紙をローマに送ったことが起源とされている。もし上智大が16世紀に日本で最初の大学として設立されていたなら、日本の歴史は大きく異なっていたかもしれない。その上智大学で学び、さらに長年教鞭をとってきたアドルフォ・ニコラス師が、イエズス会の現総長なのだ。

そこで、一つ提言したい。
日本政府は公式に、フランシスコ1世新法王を日本に招聘してはいかがだろうか?

法王が過去に来日したのは、32年前、1981年のヨハネ・パウロ2世のみだ。ローマ法王が来日することで、世界中の12億の信者に日本の好印象を与えるのみならず、南米各国の心にも刻まれることになるだろう。
南米産まれで、イエズス会出身の、フランシスコを名乗る法王が、フランシスコ・ザビエルを意識していないはずがない。イエズス会のニコラス総長や同じく上智大で教鞭をとっていた緒方貞子女史などにも労を取ってもらい、日本招聘を成功させ、上智大学での説教や福島訪問、さらには聖フランチェスコにゆかりのあるハンセン病療養所の訪問などを実現してほしい。19日の即位式典には森元首相が特使として派遣されるようだが、そのときにでも安倍首相の来日招聘の親書を携えてはどうだろう。

意外にも日本と関係の深い法王だからこそ、深い敬意をもって、したたかに外交戦略を立てるべきである。

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