- 作者: 曽野綾子
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 新書
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20年前の200万部ミリオンセラー。文庫版古本がブックオフで100円で売っていたので、現在働いている日本財団の前会長の著書ということもあり、購入して読んでみた。(学生時代はブックオフに足しげく通って、100円の古本をたくさん買ったものだが、社会人になってもその習慣はぬけていない。)
世間一般的な価値観に迎合しない考え方を持っているとは思っていたが、いわゆるカトリック的な価値観にも縛られない、ある意味直観を頼りにした爽やかなエッセイだと感じた。読んでいて同感するとか反論したくなるという次元の感情を起こさせない、心地よさがある。それは曽野さんが人間の限界というものを素直に受け止めているからだろうか。
それでいて、迫真に迫る言葉を、さり気なく言い切ってもいる。
印象に残ったことば。
女性は、男と比べて運動能力においても、知性においても劣っていると私は思えるのだが、たったひとつ、優れているところがあるとすれば、それは、愛するものを盲目的に信じることである。(中略)ものごとをなし遂げてきたのは、一部の理性的な計算と、あとは狂的な執着なのである。
(中略)
私は自分の息子が、将来もし、罪を犯すことがあっても、最後まで、自分の子供のよさを盲目的に信じる母でありたいと思う。
愛の定義を私はこういうふうに考える。
その人のために死ねるか、どうか、ということである。
「愛」という言葉の重みは、僕にとって年々変化している。
その人のために死ねる人・・・片手の指で数えるくらいしかいないだろう。でも僕はその人のために今は何としてでも生きたい。