まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

ハーバード卒業!

あの手紙が来てから1年と三ヶ月の月日が経った。

I am pleased to inform you

that you have been admitted to the Harvard Graduate School of Education to begin full-time study in academic year 2006-2007 as a candidate for the Master of Education degree in the International Education Policy program.


2007年6月7日。

僕は「candidate=候補生」から、「その者」となり、新たな一歩を踏み出した。


晴れ渡るマサチューセッツ州ケンブリッジの青空に、7004名の卒業生とそれを祝う約3万名の家族・ゲストたちの笑顔が澄み渡った。

今年で371歳となったアメリカ最古の大学ハーバードは、4世紀にわたって受け継がれた真理への敬意とより良き社会への追求欲を、一年に一度の儀式を通して再び確認し、祈りとともに感謝した。

そして、その旅立ちの日に抱いた理想と希望の一部を、アメリカと世界において実現してきた過去の先人たちと同じように、今年の卒業生たちもまた、未だ果たされぬ残された理想を実現すべく、静かな決意を確認した。
ラテン語のスピーチに続き、学部生と大学院生の代表スピーチ。
そして、各スクール(大学院)の学長によって、今年の卒業生たちに対する学位授与の宣言がなされる。

ハーバードは伝統的に、それぞれの大学院が、その専門分野を象徴するものを皆で持ってくることになっている。

Ph.Dに続いて、歯科大学院(デンタルスクール)のグッズは、巨大歯ブラシと歯磨き粉。

これには皆おおうけ。
続いて医科大学院(メディカル・スクール)は「オペ用の手袋」(だったと思います)、法科大学院(ロースクール)は「裁判官の木槌」。
ビジネススクールはなんと・・・

マネー!
さ、さすが・・・

デザインスクールは工事現場などに使われる“Caution(注意)”の黄色いテープ。ここら辺はちょっと意味が分からない。(すいません)

そして我が教育大学院!
今年の象徴は「本」。

卒業式後に、それぞれが持ち寄った本を子供たちに寄贈するという、うちらしいコンセプト。

途上国の健康問題などに取り組む公衆衛生(パブリック・ヘルス)は、「万国旗」。
行政大学院(ケネディスクール)は、「地球儀」。

それぞれの地球儀が飛び跳ねる姿は、まるで世界の今を象徴するかのよう。
そして最後に学部。全体を象徴するグッズはなくとも、さすが若いだけあって一番の盛り上がりをみせる。

こうして各スクールが集まってみると、物事の見方の多様性と、その目的性の究極的一致を同時に感じることができる。

全ての学位授与が終わると、名誉学位授与式。
天文学者や元NBA選手など10名ほどに与えられたのち、トリに今年の目玉、ビル・ゲイツ
彼の業績が讃えられると、ビジネスの成功はビジネス・スクールの卒業生が、フィランソロピストとしてのゲイツ財団の取り組みには、公衆衛生、教育、ケネディスクールが歓声をあげる。改めて、彼の取り組みの広さと同時に、様々な学問分野が互いに折り重なっていることを感じる。午後の彼のスピーチではEquity(公正)が強調されていた。

全体のcommencement(卒業式)が終わると、次に各スクールに分かれて、一人づつ学位が授与される。

663名の教育大学院2007年卒業生のなかに、僕は参列した。
最後まで、果たして本当に卒業できているのか不安だったが、無事名前を確認。
いよいよ学科長、学長から学位を手渡される。

たった一つの、たかが修士号学位だが、この名誉ある場に居合わせることができたことに、素直に誇らしさを感じた。
アメリカと世界をリードしてきた先人たちがここから巣立ち、これからまた、新たな理想と技術を両手にかかえ難題に取り組む同僚たちが世界へ旅立つ場だから。

悪夢にうなされながら英語に取り組み、ようやく苦労して入ることができた。
白髪を増やしながら山のような課題に取り組み、ようやく苦労して出ることができた。
正直、楽しいことより苦しいことが多かった。
しかし、ここで今学んでいるなかに、世界の数千万の子供たち、数億人の人々を救う鍵が隠されているかもしれない。
多くの若き原石を磨き上げる砥石が眠っているかもしれない。
日本が再び教育大国として立つためのヒントを発見できるかもしれない。
世界の平和を持続的にもたらす方法が与えられるかもしれない。
ここに来た原点となる想いを、胸の底から引き出しながら、必死についてきた。

そして、その間、常に支えくれた人々がいた。

まずは、本ブログを通して、合格前から多くの励ましのコメント、留学準備の情報、そして応援クリックをしていただいた全ての読者の皆さんに心からお礼申し上げます。
ありがとうございました。

友人
僕の下手な英語をがんばって聞き取ってくれ、様々な視点をもたらしてくれた世界中の俊英たち。
内外に支えてくれた日本人留学生の仲間たち。省庁、国際NGO出身と、すごい人たちばかりでしたが、気さくに、ときに熱く語り合いながら、切磋琢磨してきました。彼らなくして卒業できていたか分かりません。本当に心から感謝しています。

そして家族
入学前に結婚したことで増えた家族らに、ときに励まされ、ときに日本食を送ってもらい、内外の大きな支えとなりました。60を越えても裸一貫で世界中を飛び回る父からは勇気をもらい、天国にいる母からも多くの力をもらいました。
本当にありがとう。

最後に、
ハーバードへ飛び立つ直前、突然の決断にうなづき着いてきてくれた
温かく健康的な日本食をつくってくれ、下手な英語をお互いに直しあい、眠りこけそうなときはとびっきりの濃いコーヒーをいれてくれ、レポートのヒントをいくつも与えてくれた。そして、美しいボストンの街を一緒に回りつくした。

ずっと一緒にいてくれてありがとう。


素晴らしい環境と、素晴らしい隣人、そして全力で取り組めば乗り越えられる試練と最高のご褒美を与えてくれた神様に心から感謝したい。

この一年間与えられた全ての内容は、今日という日の誇らしい気持ちのためではなく、明日からの歩み、これから築いていくもののためにある。

だから、ここで学んだこと。

失敗をおそれないこと。
決してあきらめないこと。
常に感謝の気持ちを忘れないこと。
人間は常に学ぶ立場にあること。
世界には様々な人、文化があるが、全ての根は一つであること。

これらのことを忘れなければ
世界は必ずよくなることを信じて、
新しい道へと旅立ちたい。

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【追記】
今後の具体的な取り組みと展望については、後日ブログで報告させていただきます。
また、スペースアルク「東大よりハーバードに行こう」での連載はその報告をもって終了とし、6月で閉じさせていただきます。
別の形でブログを継続する予定ですが、そちらのほうもどうぞ宜しくお願いいたします。