まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

教育者列伝〜サリバン先生

前々回の日記で障害者教育について触れたので、「奇跡の人」と呼ばれるサリバン先生についてちょっとだけ書き留めておきます。

アン・サリバン先生は、言わずと知れた、三重苦を克服し世界的に有名になったヘレン・ケラーの家庭教師ですね。ヘレンケラーは現在ハーバード大学の研究所となっているラドクリフ大学という女子大を卒業し、また、両者ともマサチューセッツ州にある盲学校を出ています。

おそらく、サリバン先生の教育姿勢を一言でいうと、

高い期待と信念を持って生徒の可能性を信じながらも、わがままをゆるさない徹底した厳格な教育であるということでしょうか。

ヘレンの両親に反対されながらも、それまで甘やかされつづけてきた三重苦のヘレンに対して、残酷ともいえるしつけを課しています。子供に対して、厳しいしつけ・教育を実践するのは、親でも教師でも心痛いことだし、難しい。ましては、見えない、聞けない、話せないの「三重苦」を抱える少女に、「同情」して世話をしてあげようとするのは当然かもしれない。でも、何よりもその子の将来と真の自立を考えたら、そのときに厳しい教育をすることは必要であり、まさに愛情の実践であると思う。

彼女をこう言っている。

「私が教えることのできる二つの本質的なこと、すなわち忍耐と愛とを彼女が学ぶまで私との戦いは続くでしょう」

そういう教育をできる教師が、現在、日本やアメリカにどのくらいいるのでしょう。
驚くことに、サリバン先生自身が、この頃、盲学校卒業したての20歳そこそこだったということ。

教師の経験がないなかで赴任しながらも、自らが学ぶ姿勢をもって、体当たりの教育を行った。逆に言えば、理論や経験から固定観念を持つことなく、信じること(三重苦の子供にも言葉が使えるようになるという)に対してあらゆるアプローチを試みた。

そして、この信念はおそらく、自らの体験から来ているのだと思う。
サリバンは貧しいアイルランド系移民の子として生まれ、9歳で母を亡くし、救貧院に収容される。また、幼少時の病気がもとで視力が低下し、全盲に近い状態にまでなり、パーキンス盲学校で学ぶ。しかし、その後、視力をある程度回復し、学校も総代としてスピーチを行い卒業した。
自らが苦難を克服した体験が、彼女のゆるぎない信念を形成したのだと思う。

サリバン先生は、ヘレンが言葉を覚え、ラドクリフに入学・卒業しのちも、付き添いながら生涯の師弟関係を続けたという。二人の関係を知るときに、近代の学校教育で育ち、マクロな教育「政策」を学ぶ自分なんかが忘れがちな、教育の本質を感じることができる。

真の教育は、親子の関係がそうであるように、生涯の関係を通じてなされるのだと思う。
26にもなって未だに学生をやっている僕は、たくさんの先生から多くのことを学んだ。そのことに対する感謝の想いはあるが、師と言える人はごくわずかだ。
だが、そのわずかの師、いや、たとえたった一人であっても「生涯の師」に出会えることが、人間にとってどれほど大きなことであるかは、ヘレン・ケラーとサリバン先生を通して、また、自らの人生を通して感じる。

自分もそのような師になれるよう、
たった一人でも、人生に大きな影響を与えられる人間になりたい。


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