安倍首相の首相就任以来初の訪米は静かに終わった感があります。
こちらでテレビを観ていても、一度もニュースで顔を観ることはありませんでした。(やっていたかもしれませんが。)
出てくるのは松坂VSヤンキース戦ばかり。
アメリカにおける日本の政治的存在感がいかほどのものか考えると、やや複雑な気持ちになります。
今回の訪米前にヒートアップしていたのが従軍慰安婦問題。
安倍首相の「責任を感じている」という発言に、米メディアはやや沈静化した感があり、今回の訪米時でもその構図を踏襲した感じでした。
そんな折に、ハーバード・ケネディスクールでは元慰安婦の体験談を含めた、慰安婦問題に関するイベントが開かれ、行ってきました。
会場はほぼ韓国の方で埋められ、なかには親に連れられてきた子供たちまで参加していましたが、僕のような日本人学生がちらほらと、アメリカ人と思われる白人の方も何人かいました。
ドキュメンタリー映像を観たあと、「元慰安婦」の方の証言が続きましたが、僕自身、生で聞くのは初めてで、正直、かなり衝撃を受けました。韓国語と英語の通訳を合わせて聞きましたが、リアルな体験談が胸に突き刺さりました。
この問題が国際政治の文脈上で、60年以上経った今もなお政治的に扱われることに対して、違和感も覚えます。ましては、当事者でもないアメリカがなぜ?という疑問はさらに大きいです。
ただ一人ひとりの当事者の悲痛な記憶に触れると、それが忘れられてはならないことであるし、問題を決して曖昧にしてはならないとも感じました。
また一方で、政府の「正式な謝罪」や賠償などの「行為」がこの問題を解決するのか、と考えたときも、決してそのようには思えません。
結局、この問題の政治的な解決の道は、逆説的に言えば、政治的課題が解決されたときにしかありえないように思えます。
ただもっと重要なのは、ご本人たちが精神的な部分における「恨(ハン)」をいかに消化できるかであり、それは日本人との(舞台の上ではなく)現実における生(なま)の関係であるとか、もっと言えば、ご本人の実存的な生そのもに帰しているのではないかと感じます。
「性」の問題は、結局、人間が歴史を通して苦悶してきたことで、性犯罪や性産業に始まり、結婚・離婚の問題、男女平等の問題も、一つの糸が複雑に絡まっているものなのではという気がします。
それを解かない限り、慰安婦の問題も決して解けないのでは、ということを感じた今日の一コマでした。
長く続いた風邪がようやく回復の兆しを見せています。
ハーバード留学生活、そしてこのブログも残り期間わずかです。
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