まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

初マラソン完走!!!

午前10時。
雨が降りしきり、冷たい風が体温を奪う。
防寒防水服を全く用意しなかった僕は、HARVARDのロゴが入った半袖と短パンで、無謀にも第111回目の嵐のボストンマラソンに挑む。
今回が5回目のマラソンになるハーバードの友人Tさんは準備を完璧になし、二人の格好は対照的だ。

午前10時半。
一般参加者のスタート時間となり、スタート地点に向かう。
すると奇跡的にも、雨が止んだ。
恵みの雨ならぬ、恵みの曇り空となった。
スタート地点には人、人、人!皆、この日を待ちに待っていたのだろう。嵐にもめげずに、果敢に挑戦する一人ひとりの姿が頼もしい。
祭りのような興奮とレースの前の緊張感とが一体となり、何万という挑戦者たちがまるで戦いに共に挑む同士のように思えてくる。

長蛇の列をくぐり抜けてスタート地点にたどり着いた。
いよいよスタート。
時間は午前10時35分

初めは同志のTさんとしゃべりながら走る。
興奮を分かち合いながら、Tさんの豊富なマラソン経験を聞く。
家族の話をし、明日が誕生日の天国にいる母のことを話していると、ちょうど"HAPPY BIRTHDAY! MOM"と書かれたゼッケンをつけた女性が並走していた。天国から母が応援してくれていることを心から感じた。

最初の10キロほどはスムーズに走れたが、それをすぎると、やはりひざが痛み始めた。
爆弾を抱えたひざが、どこまでもつかがこのレースの鍵かもしれない。
初めはサポーターをつけて走ろうかと考えたが、じゃまになるので何もつけずに挑んだ。

ひざの痛みを気にしながらも、Tさんと並走することで疲れ、痛みは気にならなかった。
20キロ、ハーフに近づいてくると、遠くから風のようなかん高い大きな音が聞こえてきた。
噂に聞く、Wellesley College(アメリカの名門女子大。ヒラリー・クリントンなどがOG)の女学生たちの黄色い大声援だ。何百何千というWellesley生が列をなし、待ち構えている。一人ひとりとハイタッチをしながら、力をいただく。“Kiss Me!"と書かれた看板も、いくつか掲げられ、ほんとにキスしていたオヤジたちも何人かいた。(汗)

黄色い声援を抜けるとすぐに中間地点。
まだまだ力が残っている段階で半分を走り切り、「いける」という自信が湧いてきた。沿道からは、"Go, Harvard!"という応援をたくさん受ける。ハーバードTシャツを着たことで、人並み以上に応援をいただいた。

25キロの地点で2時間半。
ちょうど1週間前の練習で走った距離と時間だ。
つまり、これ以降は、未知の世界ということになる。
このあたりから、体中が痛み始める。ひざの痛みはかなりのところに達し、かかとも痛み始めた。
「やばい」というおもいが頭をちらちらする。

30キロあたりから、ついに「心臓破りの坂」が姿を現わした。
ちょうど体力を消耗した頃に、きつい上り坂に出迎えられる。
僕の目標は、一度も歩かずに走りきること。ここでスピードをゆるめることはできない。
すると上り坂が得意なTさんがとばし始める!ちょっと待ってくれ。坂で逆にとばす人がどこにいるんだ?と、つっこみたくもなるが、僕も男の端くれ。
負けていられない。必死の形相で食らいつく。
スピードが落ちたランナーたちを次々に抜く。

35キロ
僕の体力も限界を2回りくらい越えてしまった。最後の上り坂でとばしまくるTさんからついに後れをとった。
しかし、これは自分との闘い。
己の限界に挑戦し、自分のできる最大限の走りをすればいい。
一人になったことで、自分の心を見つめる走りが始まった。

「心臓破りの坂」をこえると、残り8キロ。
「ゴール」という言葉が頭によぎり始めた。
ペースを再びあげて、タイムを1分でもあげる闘いに挑む。
体は相変わらず痛むものの、自然と力が湧いてくる。
途切れない沿道の応援、天国の母、ゴールで待つ妻、そして応援してくれている友人、このブログの読者たちのことを想いながら、力を振り絞る。

ついに残り5キロになった。
残すところあとわずか。しかし、急に足が棒のように固まった。
足が動かない。鉛のように重くなった足を、気合で一歩一歩前に持っていく。

残りの数キロはほんとに長かった。
ゴールの瞬間ばかりが待ち遠しく、重く動かない体がもどかしい。
ひざとかかとは完全に壊れた感じだった。
しかし最後まで走りぬくこと、それだけは貫き通したかった。

そして、遂にゴールが目前に見えた。
すると自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。
妻だった。
この瞬間を待ちに待って走ってきた。思わず笑顔がほころぶ。
幸せの瞬間だ。

残り数百メートル。
手足を振ってラストスパート。
青いゴールの文字が見えた。
一気に駆け抜ける。
飛び入り参加の一市民のしがないゴールだが、気分はオリンピックの金メダリスト。
両手を上げガッツポーズでゴールイン!!

タイムは4時間11分
目標の5時間を大幅に上回ることができた。

無事に完走できたことを、神に感謝し祈りを捧げる。
思わず涙が浮かんだ。
この瞬間を信じていたが、正直不安でいっぱいだった。

街を見つめると、なぜか世界が違ってみえた。
一つのことを達成した者だけが見ることのできる世界だ。
足はガクガク、頭はもうろうとしていたが、胸は熱さでいっぱいだった。

1ヶ月もない準備期間。初めてのマラソン。1年間全く運動していない状態。
そこに嵐の追い討ちが加わり、不可能かとも思った。
でも世の中に不可能なことはない。
そう信じて生きたいと、心の底から今は思う。

実際、何万人の老若男女が同じように完走した。
中には視覚障害の方も参加していた。
人は強いんだということを、改めて感じた。
強い意志とたゆまぬ努力、そして応援してくれる人がいれば、どんなことでもできるのかもしれない。

今回、危なっかしい僕の初マラソンを応援してくれた読者、友人の皆さん、一緒に走り励まし続けてくれたTさん、そして愛する家族に心から感謝したい。

本当にありがとうございました!


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