ビル・ゲイツに続いて、ビル・クリントン前大統領も、今年のハーバード卒業式でスピーチをするようです。
白熱する大統領選を前にして、政治的意図を感じなくもないですが、「引退」後に自らの財団をつくって、HIV/AIDSなど地球的問題に取り組んでいる二人の「ビル」がそろうのもおもしろそうです。
アメリカから学ぶべきだと感じたことは、個人・民間がパブリック・サービスに積極的に参加していること。公的なことが「お上」の独占的役割という感覚はまったくないように思われる。というより、公的サービスの質が低く、あまり信頼できないから、民間がしっかりしなきゃと思うのかもしれない。
たとえば、日米の助成財団比較をすると、日本の全財団の助成額を合計したものが、アメリカで規模2位のフォード財団560億円にようやく匹敵する。1位のゲイツ財団は、その倍の1300億円。規模は大きくなくても、得意分野をもって存在感を示す財団も多い。
ハーバードなどの名門私立大学が、圧倒的資産規模で研究と教育の質・規模を確保できるのも、民間の寄付や研究助成によるところが大きい。
寄付税制控除などのシステム構築に加えて、一人ひとりが「公」を担うべきなのだという発想の転換と、そのような人材の育成が必要だと感じる。
卒業式では、クリントンを「過去」の前大統領としてだけではなく、グローバル・イシューに取り組む「現在」の人間としても捉えたいと思う。
卒業―それは、新しい出発なのだから。