本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

少子化に最も効くのは「ありがとう」という言葉なんじゃないかと

育休3年」や「女性手帳」の論争が続いています。「少子化」という国家の存亡にかかわる社会問題と、「男と女」という人類永遠のテーマに関わることですから、当然といえば当然かもしれません。

毎日一緒に暮らしている夫婦ですら、誤解やすれ違いは当たり前ですから、このテーマに踏み込んだ政策論争ともなればいろんな考え方があるし、理屈だけでは納得できないこともあるのでしょう。

先日の日曜日は「母の日」でした。私の母は20年前に他界しているので、天国へありがとうと祈り、同居している義母に感謝を伝え、そして、来月で3児の母になる妻に感謝の手紙を綴って贈りました。

5年前、妻が初めて母になった年の母の日、私はそのことに気づかず、何も準備していませんでした。もちろん、ゼロ歳の赤ちゃんである息子から「お母さんありがとう、バブ〜!」なんていう言葉が出てくるわけがありません。人生で初めて母になった母親1年生の妻は、ちょっと寂しい思いをしたようです。

それから第2子も生まれ、私も育休を取り、妻の母親としての苦労と子どもたちへの愛情の深さを、前よりもちょっとだけ実感をもって感じるようになりました。妻は胎児のときから母親になってますから、私よりも1年も2年も先輩ですし、子どもに投入した時間と愛情は比べ物になりません。

とはいえ、手のかかる幼児が2人、お腹にも1人となると、毎日が忙し過ぎてまさに心を亡くす状態、ちゃんと感謝の言葉を伝える機会がありません。それに、改まるのも照れくさいものです。それで、母の日という素晴らしい機会に、子どもたちの母親である妻に手紙を書きました。

“毎朝、お弁当とご飯をつくって、寒い日も暑い日も手を引いて公園に連れてって、「夕ご飯は何を食べてくれるかな、何が健康にいいかな」っていつも悩みながらつくってくれて、絵本を読んであげたり、歌を歌ってあげたり、そんなママのことが、子どもたちは大好きだよ。そんなママのことが俺は誇りだよ。
夜中に園のカバンを縫ってる姿をみて、子どもたちは素敵なママをもって幸せだなって心から思ったよ。それに、そんな素敵な妻をもてた俺は世界一幸せだよ。
いつも本当にありがとう。”

というようなことを書きました。かなり恥ずかしいので一部省略していますが、愛情表現が苦手な日本男児は、清水の舞台から飛び降りる覚悟でないと、そんなこと妻に言えないし、ましや人様にお見せできないわけですから、バカな私めが、罵詈雑言覚悟で敢えてパンツを脱がせていただきました。

いろんなところの調査で出ていますが、妻が夫に言ってほしい言葉は圧倒的に「ありがとう」だそうです。続いて、「おつかれさま」「ごちそうさま」「好きだよ」「きれいだね」と続きます。

「30代後半からは妊娠しにくくなったり、不妊治療の効果が得られにくくなる」といった知識はもちろん男女ともに持っておくべきですが、そのうえで、「いつもありがとう」とか「おつかれさま」とかの感謝の言葉や、「好きだよ」とか「愛してるよ」とか愛情を伝わるように表現することのほうが、女性が「子どもがほしいな」っていう気持ちになるんじゃないかなと思うんです

子育てはお金がかかるので、子育て世代への経済的バックアップももちろん必要ですし、政府はしっかりと政策を実行してほしいわけですが、子どもを産んで育てるっていうことは、もっともっと大きな大きなことだと思うんです。素晴らしいことだと思うんです。奇跡だと思うんです。たとえ政府が何もしなくたって、「子どもって大変すぎて、かわいすぎて、ヤバいんだよ!」って嬉しそうに言い合えるほうがいいんじゃないかと。面と向かってでも、ソーシャルでも。

理想論に過ぎないかもしれませんが、私は政治家でも役人でもジャーナリストでもなく、一介の父親であり夫でしかないので、そんなことしか言えないわけであります。

昨今の少子化論争になんとなく違和感を感じていた折、お腹の大きくなった妻が母の日に息子の描いた似顔絵をもらって目にウルウルと涙をためている姿をみて、そんなことを思いましたのでした。