本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

酒の飲み過ぎに注意 脳や記憶力にダメージを与える3つの習慣

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脳によい食習慣「暗記フード」について紹介しましたが、逆に脳に悪い習慣もあります。『最強の暗記術』から、暗記脳にダメージを与える「三悪習慣」を紹介します。


一つ目は、お酒の飲み過ぎです。お酒を飲み過ぎると、自己コントロールができなくなったり、記憶が飛んだり、二日酔いで頭痛になったりと、脳によい影響がないというイメージは一般的にも持たれているかと思います。


科学的にもアルコールが脳に悪影響を与えることは実証されています。オックスフォード大学とロンドン大学の研究チームは、脳のMRI(核磁気共鳴画像法)検査を受けた平均43歳の男女550人を対象に過去30年のデータを解析した結果、飲酒量が多いと海馬萎縮を発症するリスクが高まり、記憶や空間認知に影響を及ぼす可能性があるという研究を発表しています。海馬の萎縮リスクは、アルコールを飲まないグループと比べて、週30ドリンク(1ドリンクはアルコール8グラム、アルコール度数5%のビール200mlに相当)以上の多量飲酒のグループで5.8倍、週14~21ドリンクの適量飲酒のグループでも3.4倍高まります。さらに、週1~7未満しか飲まないグループでも、海馬の萎縮リスクを抑制する効果はみられなかったとのことです。


飲み過ぎが脳によくないことは数値からも明らかになっていますが、適量のお酒でも脳にダメージを与えていることが分かります。未成年者であればなおさらで、脳が成長している時期にお酒を飲むと神経細胞を破壊し、脳萎縮を早くもたらす危険があるといわれています。日本では、20歳未満の未成年者でも大学生になると飲酒に寛容な文化がありますが、法律上禁止されているだけでなく、脳機能の低下という点からもリスクが高く、もったいない習慣だと感じます。


ちなみに、私はお酒を一切飲みません。身体にも、脳にも、心のコントロールにもよくないと考えているので、お酒は一切飲まないというルールを設定しているからです。飲み会には参加しますが、飲まないことにしているとはっきりと伝えれば、人間関係や仕事でも困ることはありません。おかげで、記憶力や脳機能の低下を一切感じることはありません。飲み会後の夜や翌日の朝に、頭痛で頭が働かない、暗記に支障が生じるということもありません。

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暗記脳にダメージを与える2つ目の習慣は、学習中のスマホです。
勉強や暗記もスマートフォンのアプリを使ってできることもありますが、学習時間に学習目的以外にスマホを気にし始めると集中力が落ちしてしまいます。友達からLINEでメッセージが届いたり、FacebookTwitterInstagramの投稿が気になったりすると、暗記に必要な集中ができなくなります。暗記時間、学習時間は終了時間まで必ずスマートフォンを触らない、電源をオフにするか、マナーモードにして、視界から外れたところに離しておいておくといったルールを決めておくのがよいです。


スマホはやり始めると時間がいくらでも奪われるという問題もあります。学習の合間の休憩時間にSNSをチェックするくらいはよいですが、際限なくやり続けると、時間のムダになってしまうという点でよくありません。休憩時間のスマホ使用も時間を決めたり、やることを決めておいて、メリハリをつけて付き合うのがよいでしょう。


暗記脳にダメージを与える3つ目の習慣は、過度で慢性的なストレスです。
人間関係に悩んでいたり、大きな心配事があったりすると、勉強に集中できないという経験はないでしょうか。あるいは、緊張でパニックになり、頭が真っ白になって覚えていたことをすべて忘れてしまったといこともあるかもしれません。


ストレスは大脳皮質前頭前野に影響を及ぼすといわれています。前頭前野には抽象的な思考に関わる神経回路があり、集中力を高めて作業に専念させる役割や、情報を一時的に記憶するワーキングメモリーとして働く機能があります。慢性的なストレスにさらされると、前頭前野樹状突起が萎縮し、これらの機能が低下する可能性があるのです。


うつ病や依存症、心的外傷後ストレス障害PTSD)などの不安障害も、こういったストレスによる脳内変化が原因といわれています。厚生労働省によると、うつ病の生涯有病率(これまでにうつ病を経験した者の割合)は日本では3~7%です。決して他人事ではありません。うつ病を発現する前のストレス予備軍も、かなりの数がいるのではないかと思われます。ストレスを溜め込みすぎてしまうと、精神的にも、脳の働きからもみてもダメージを受けてしまいます。


可能であればストレスの原因となっている人間関係をうまく整理したり(解決できなければ、人事部に訴えたり、職場を変えるのも一つの方法)、運動や歌などを趣味を思いっきりやってストレス解消したり、ストレスをコントロールすることは暗記脳にとっても大切です。


ちなみに私は、運動を一日20~30分間やることに決めており、その習慣が体力維持だけでなく、ストレスコントロールにもつながっています。他の人のために生きる「心トレ」の実践も、人間関係を良好にし、ストレスコントロールにつながります。


お酒の飲み過ぎ、長時間スマホ、そして過度なストレスといった暗記脳へのリスクを上手にコントロールし、生活習慣のなかで脳へのダメージを抑えることも実は重要な要素なのです。

 

motoyamakatsuhiro.hateblo.jp

暗記力を高める3大ブレインフード

「暗記力をもっとつけたい」という希望は、多くの人がもっているかと思います。暗記術には様々な方法がありますが、実は食習慣によっても変わってきます。そこで、脳の活性化につながり、暗記を後押しするようなお薦めの「暗記フード」を紹介したいと思います。英語ではbrain foodsと呼ばれているものです。

 

私が実際に食していて、科学的にも実証されている「暗記フード」は、1)コーヒー、2)高カカオチョコレート、3)大豆製品です。『最強の暗記術』から、「3大暗記フード」(brain foods)を紹介します。 

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1)コーヒーは、カフェインが睡眠物質であるアデノシンという脳内物質を抑制させることで、覚醒効果と集中力を高めるのに役立ちます。また、記憶や学習に重要な役割を果たす脳の海馬の神経細胞の働きを強化し、記憶力を高めるという実験結果もあります。飲んでからおよそ20分後に脳の覚醒が始まり、60分後をピークに4時間ほど続きます。勉強、暗記で集中したい時間から逆算してコーヒーを飲むのがよいでしょう。

 

私は、早朝に起きると一番にコーヒーを飲みます。それからメール・SNSチェックをして、勉強や執筆などアウトプットの準備をして15分後くらいに勉強の集中時間に入ります。朝のこの時間は驚くほど集中できます。また、お昼休憩のあと、午後一番にもコーヒーを飲みます。朝のコーヒーの覚醒効果がなくなった頃、午後の時間は眠気もおそいやすいので、もう一度コーヒーをカンフル剤とします。夜は最近は早めに就寝することにしているのでコーヒーを飲みませんが、夜遅くまで勉強をしていた時期は夕食後の20時頃に飲んで、最後のひと踏ん張りをしていました。コーヒーは一日3杯ほどが適量のようです。

 

一方で、コーヒーに砂糖やコーヒーフレッシュを入れて飲みすぎると、糖分の摂りすぎなどにつながってしまうので避けたほうがよいです。コーヒーを頻繁に飲むのであれば、ブラックコーヒーがよいでしょう。

 

2)もう一つ、定番かもしれませんが、「暗記フード」として私は高カカオチョコレートをよく食べます。チョコレートの主原料であるカカオに含まれるカカオポリフェノールは脳の血流量を増やし、脳由来神経栄養因子(BNDF)を含む血流の増加によって記憶や学習などの認知機能を高める可能性が研究によって示されています。特に、高カカオチョコレートに含まれる高濃度のカカオポリフェノールが効果を発揮するようです。カカオ95%や86%、72%などと表示されている、明治の「チョコレート効果」などが高カカオチョコレートです。

明治 チョコレート効果カカオ72%BOX 75g×5個

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1枚に含まれるポリフェノール量が多く、逆に糖質量は低く抑えられています。カカオポリフェノールは一度にたくさん摂取しても排出されてしまうので、1日3枚から5枚が目安とのことです。カカオポリフェノールに含まれるエピカテキン血中濃度は2時間でピークに達し、徐々に体外へ排出されるので、午前、午後、夕方など一日数回に分けて食べるのがよいでしょう。

 

3)もう一つの暗記フードは大豆製品です。豆腐、納豆、味噌汁など、大豆製品は様々なかたちで食生活に取り入れられます。大豆は健康のいい食べ物として一般的にも知られていますが、脳機能の向上にも効果的です。大豆にはレシチンが含まれており、脳や神経組織に多く存在している成分で、レシチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンの生成を促して、記憶力や学習機能の向上に寄与するといわれています。

 

また、大豆に含まれる大豆ペプチドの摂取は神経栄養因子であるNGF、BDNF、NT-3の発現を上昇させることで、認知機能の低下を抑制することが確認されています。また、神経伝達物質やその受容体機能の促進効果を持つ神経調節性アミノ酸や、脳損傷からの回復を促進するアミノ酸が増加することも報告されています。

 

食習慣は毎日繰り返し、積み重ねられるものです。毎日の積み重ねが、長期的には大きな違いを生み出すことになります。脳機能を活性化せ、暗記力を向上させるのに、実は食習慣を意識することも大切な要素の一つなのです。

 

【大キャンペーン】『最強の暗記術』レビューで奨学金本プレゼント!

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夏休みに入ったことですし、出血大サービスプレゼントキャンペーンを行います!

新刊『最強の暗記術』のレビューをAmazonに書いていただいた方には、わたしのもう一つの新刊、ポプラ新書の『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』を無料でプレゼントします!

 先着順としますが、多くの方に読んでいただきたいという趣旨なので、今回はプレゼント本をかなりたくさん用意します。ほぼ全ての方にお届けできると思いますので、ぜひご応募ください!

 

 ・ご氏名

・ご住所

・投稿されたAmazonレビュー

 

上記の必要項目を記載のうえ、以下メールアドレスまでご連絡ください。

motokatsuhiro@yahoo.co.jp

 

※万が一レビューに重複があったり、内容と無関係のものなどがあった場合はお断りさせていただくことごあります。

 

キャンペーン期間は夏休み期間8月31日までとしますが、用意したプレゼント本の在庫がなくなり次第先着順で締め切らせていただくことがあるので、お早めにご応募ください。

 

みなさんのレビューとご応募お待ちしています!

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『最強の暗記術』発売!書店にも並び始めました!

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『最強の暗記術』が発売開始となりました!

本作が13冊目となる著作ですが、毎回この発売リリースタイミングはドキドキしますね。

早速、通勤途中のブックファースト六本木店にも寄ってみましたが、面陳列で置いてありました!

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本に重版がかかるか、多くの方に読んでいただけるかは、発売開始直後の「初速」にかかってくるとよく言われます。ぜひ多くの方に読んで、実践していただきたいと思っています。

 

暗記に自信がなかったという方。

これから試験や語学をがんばりたいという方。

試験は受けないけど、ビジネスでも暗記術を応用したいという方。

具体的で実践的な方法をご紹介しているので、ぜひ試してみて下さい!

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【お知らせ】

Schooでオンライン生放送授業をやります!ぜひご参加ください。

自分の限界を打ち破る「独学術・暗記術」 -生存戦略としての自己投資-

7月23日 (月) 20:00 - 21:00
本授業は、教養に焦点を当てて独学術・暗記術を学びます。普段なおざりにしがちな教養学習ですが、本授業をキッカケに学び始め、自らの可能性を拡げましょう。
アジェンダ
・学ぶことにおける教養学習の位置づけ
・教養を培う独学術
・教養を培う暗記術

schoo.jp

 

新刊『最強の暗記術』が予約スタート! 暗記2.0、暗記3.0とは?

 

最強の暗記術 ~あらゆる試験・どんなビジネスにも効く「勝利のテクニック」~

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 新しい本を出します!

 

『最強の暗記術 〜あらゆる試験・どんなビジネスにも効く「勝利のテクニック」』

 

Amazonでの予約がスタートしました!発売日は7月21日。残り一週間を切りました。

 

試験からビジネスまで、私がこれまで東大受験やハーバード受験、英語や韓国語学習、読書や書籍出版、国際会議やビジネスにいるまで、実践してきたすぐに使える暗記テクニックをまとめています。

 

ネットもAIも発展しているのに、いまさら暗記なんて必要なの?という疑問にも答え、新しい時代にあった「暗記2.0」、「暗記3.0」も提示しています。

 

★本書の主な構成はこちら★

<暗記1.0>
あらゆる試験を突破する最強の暗記術


・テクニックを学ぶ前に「この基本」が超重要
・楽しい「暗記の成功体験」を積み重ねる
・1回じっくりよりもサラッと7回繰り返す
・読んで、聴いて、書いて、見て、五感をフル活用させる
・イメージで覚える「マンガ暗記術」と「お絵かき暗記術」
・ググって脳に刻み込む「画像検索暗記術」
・「30分暗記モジュール」でスキマ時間を暗記時間に
・ラクに覚える「つぶやきウォーキング暗記術」
・家に「付箋」を貼りまくる
・どこでも気軽に覚えられる「スマホアプリ暗記術」
・ロジックを理解して記憶を強固にする
・小テスト・模擬試験を計画的に入れる
・1日のルーティーンに「暗記習慣」を組み込む
・長時間の勉強を可能にする「休息の技術」
・脳に効くおすすめの「三大暗記フード」
・暗記脳にダメージを与える「三悪習慣」
・今から1週間で成果を出す超実践「英単語暗記術」
・試験本番で思い出せないときにパッと思い出す秘策
・試験直前にやっておきたい暗記術
YouTubeで楽しく反復する暗記術
・スピーチをまるまる覚える暗記術

 

<暗記2.0>
どんなビジネスにも効く最強のアウトプット型暗記術


・これからの時代に必要な武器としての「暗記力」とは
・試験のための暗記から、ビジネスに使える暗記へ
・徹底インプット即アウトプットの繰り返しがビジネス成果を高める
・アウトプット暗記のカギは自分が「広報大使」になること
・書評アウトプットで「使える記憶」に変換する
・ブログを自分の「脳内データベース」にして、知見を蓄積させる
・セクシーな自己紹介を暗記しておく
・スピーチは「ストーリーとイメージ」を押さえて暗記
ケーススタディを暗記して血肉化する
・自分を人に記憶させるSNSアウトプット術

 

<暗記3.0>
夢を叶える最強の長期的暗記術


・暗記の究極目標は人生を豊かにし、夢を叶えること
・世界の偉人伝をまるまる暗記する
・人生に力を与える「座右の銘」の暗記
・「成功事例の暗記」が最高の意思決定をもたらす
・欧米エリートは世界最大のベストセラーを暗記する
・「座右の書」は年に一度は読み、勝ちパターンを刷り込む
・人生の50年計画と5ヶ年計画を暗記する

 

気になる方はぜひご予約、ご購読ください!応援よろしくお願いいたします!!

 

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韓国で『最強の独学術』翻訳版発売、ベスト30入り

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拙著『最強の独学術』が韓国語に翻訳、発売されました。

韓国語では、『ひとりで勉強したことあるの?』というタイトルになっています。

『最強の独学術』はおかげさまで6刷重版まで伸び、長く多くの方に読んでいただいています。

 

韓国でも、韓国語のサイトをみると、自己啓発書で96位にランクインしているようです。(記事投稿後42位→37位→28位→20位に上昇しました!)韓国在住の方はぜひ読んでみてください!

mobile.kyobobook.co.kr

 

韓国で本が出版されたのは、これで4冊目になります。独学力をつけることで、多くの人に夢や目標を実現してほしいという気持ちは変わりません。韓国でもぜひ実践してみていただきたいです。

 

そして、日本語版『最強の独学術』もぜひ!

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

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湯浅誠氏の語る子どもの貧困と子ども食堂

年越し派遣村」など社会活動家として著名な湯浅誠氏。現在、法政大学教授として教鞭をとりながら、こども食堂ネットワークの代表も務められている。子どもの貧困問題にも取り組んでおり、『「なんとかする」子どもの貧困』を著している。

「なんとかする」子どもの貧困 (角川新書)

「なんとかする」子どもの貧困 (角川新書)

 

 特に、子ども食堂の取り組みの背景や意義、様々な活動の類型整理や具体的事例などがまとまっている。子ども食堂はここ数年で草の根的に拡がり、全国で2200以上に拡大しており、さらに数が伸びているそうだ。

 

子ども食堂というと貧困家庭の子どもというイメージだけが強いが、実はその取り組みは様々だ。必ずしも貧困家庭に限ったものでなかったり、子どもだけでなく大人や高齢者なども集まって交流する、「孤食」を防ぐための地域のコミュニティの役割を担う子ども食堂が多い。湯浅氏はそれらを「共生食堂」=「子ども食堂(共生型)」としている。

 

一方で、貧困家庭の子どもを対象に、ケアに重点を置く子ども食堂もあり、それらを「ケア付食堂」=「子ども食堂(個別サポート型)」と整理している。同じ子ども食堂でも、趣旨や対象が少しずつ異なるため若干の混乱が生じているが、それぞれ社会にとって必要な役割を果たしている。

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『「なんとかする」子ども貧困』より、子ども食堂の類型図

 

著書のなかで、子ども食堂など「子どもの居場所」が提供するものとして以下の四点を挙げている。

1)栄養や知識

2)体験(交流)

3)時間

4)トラブル対応(生活支援)

 

どれも重要だが、にもかかわらず十分に意識化、言語化されておらず、かつ居場所の核をなしているのは「時間」だと指摘している。この指摘は、私としても最も腑に落ちた箇所だ。著書で紹介している「彩の国子ども・若者支援ネットワーク」代表理事白鳥勲さんの以下の言葉が印象深い。

一緒に過ごす時間の中で、子どもたちの中に何かが溜まっていく。それはコップに水が溜まっていくようなものだ。そしてあるとき、溢れる。そのとき、子どもたちは「何かやってみたい」と言い出してみたり、将来について心配し始めたり、急に勉強し始めたりする。いつ溢れるか、それは私たちにはわからないし、本人にもわからない。でも、人の成長にはそういう時間が必要だということはわかる。

 

 子どもと十分に時間を過ごすこと。話を聞いたり、一緒に遊んだり、ご飯を食べたり。子育てをしていると、そんな時間の蓄積が、やがて子どもの心を満足させ、自立を促すことを実感する。でも、何らかの理由で、そんな時間を十分に持てていない子どもはどうか。何らかのかたちで、「時間」を共有する場が必要なのではないか。

 

子どもの貧困は、お金の貧困だけを見ていては解決できない。子どもたちの安心できる居場所をつくり、じっくりと「時間」をかける必要がある。そうすることで、子どもたち自身が本当の意味で「自立する力」をつけていくことができる。手間暇と時間はかかるが、何よりも子どもは私たち社会の宝なのだから。